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資本性劣後ローンとは|自己資本とみなされる仕組みと公庫の条件を元銀行員が解説【2026年】

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池田計画合同会社

公開日:2026年8月24日 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)

「債務超過を解消しないと、これ以上は貸せないと言われました」。決算書を持ってこられた社長さんから、こういうお話を伺うことがあります。増資できる株主がいるなら話は早いのですが、多くの中小企業ではそう簡単にいきません。そのときに検討の俎上にのぼるのが、資本性劣後ローンです。

結論から言えば、資本性劣後ローンとは、契約上は借入金でありながら、金融機関が財務内容を評価するときには負債ではなく自己資本とみなして扱うことができる融資のことです。金融庁の文書では「資本性借入金」と呼ばれます。返済は満期に一括、金利は業績連動、倒産時の弁済順位は後回しという3つの条件がそろっていることが、資本とみなせる根拠になります。

私は元銀行員で法人融資の審査に携わり、いまは中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、山梨を中心に融資や経営改善のご相談に乗っています。査定をする側にいたので、この制度で一番誤解されている点も見当がついています。「資本性劣後ローンを借りれば決算書がよくなる」わけではありません。決算書の数字は1円も変わらず、変わるのは銀行の見方だけです。

この記事では、なぜ借入が資本とみなせるのかという根拠を金融庁の原文で確認したうえで、日本政策金融公庫の現行制度の条件、そして借りたあとに取引銀行へどう伝えるかまでを整理します。最後の点は、上位に出てくる解説記事がほとんど書いていないところで、実務では効果を左右します。

資本性劣後ローンとは、結局どういう借入なのか?

名前が長いので、2つに分けると分かりやすくなります。

「劣後」は返済の順番のことです。会社が法的に破綻したとき、この借入は他の債権より後回しにされます。貸し手から見れば、取りはぐれる危険が普通の融資より高い。だからこそ、出資に近い性質のお金として扱えるという理屈になります。

「資本性」は、その劣後性に加えて返済条件と金利条件も出資に近づけた結果、金融機関が財務内容を判断するときに資本の側に置いてよいという意味です。金融庁は2011年からこの取扱いを示しており、2020年5月27日に条件を明確化した「資本性借入金関係FAQ」を公表しています。そこには、こう書かれています。

「資本性借入金」とは、貸出条件が資本に準じた十分な資本的性質が認められる借入金のことであり、債務者の評価において、資本とみなして取り扱うことが可能なものになります。

本取扱いは、あくまでも借入金の実態的な性質に着目したものであり、債務者の属性(企業の規模等)、債権者の属性(金融機関、事業法人、個人等)や資金使途等により制限されるものではありません。(問2)

ここで押さえておきたいのは「可能なものになります」という書き方です。義務ではありません。この一語が後半の話につながります。

なぜ借入なのに「自己資本」とみなされるのか?

金融庁のFAQは、資本らしさを判断する観点を償還条件・金利設定・劣後性の3つに整理しています(問3)。中小企業の経営者の方が実際に契約書で確認することになる中身は、次のとおりです。

観点金融庁が求める条件(資本性借入金関係FAQ 問4〜問7)
償還条件契約時の償還期間が5年を超えること。原則として期限一括償還(長期の据置期間があり期限一括償還と同視できる場合を含む)
金利設定配当可能利益に応じた金利設定であること。業績連動型など、業績が厳しい期間は金利負担が抑えられる仕組みが講じられていること
劣後性法的破綻時の劣後性が確保されていること(担保解除が事実上困難な場合は、法的破綻に至るまで他の債権に先んじて回収しない仕組みでも可)

3つとも、出資という行為の性質を借入の契約条件に翻訳したものだと考えると腑に落ちます。株主は満期に返してもらう権利を持たず、配当は儲かったときにしか出ず、会社が潰れれば債権者の後に並ぶ。その3点を借入の側で再現しているわけです。

金利については、業績が厳しい期間の水準まで踏み込んで書かれています。FAQ問5は「株式の株主管理コストに準じた事務コスト相当の金利であれば、利子負担がほとんど生じないものとして『資本性借入金』と判断できる」としており、実際の制度で0.5%といった水準が使われているのはこの考え方によります。

なお、担保付きの借入や信用保証協会の保証付き融資は、原則としては資本性借入金に当たりません(問8・問11)。保証付き融資が外れる理由は明快で、保証が実行されたときに劣後性や返済条件が保証人に引き継がれないからです。プロパー融資とは何かを整理した記事でも触れていますが、誰がリスクを負っているかで扱いが変わる、という点は融資全般に共通します。

決算書は変わるのか? 変わるのは銀行の見方だけ

ここが一番大きな誤解です。資本性劣後ローンを借りても、貸借対照表の純資産は増えません。会計上はあくまで借入金であり、負債の部に長期借入金として並びます。債務超過の会社が資本性劣後ローンを1,000万円借りても、決算書の上では債務超過のままです。

変わるのは、その決算書を見た金融機関が内部で行う査定です。金融機関は自己査定の際に、資本性借入金に該当する金額を負債から外し、資本の側に足して実態的な財務内容を評価できます。この評価が債務者区分とは何かで解説した区分の判定材料になり、区分が動けば融資の出やすさも変わってくる、という順番です。

そして、資本とみなせる金額は残高の全額とは限りません。金融庁FAQ問18は、残存期間に応じて次のように逓減させると定めています。

残存期間資本とみなす部分負債とみなす部分
5年以上100%—
4年以上5年未満80%20%
3年以上4年未満60%40%
2年以上3年未満40%60%
1年以上2年未満20%80%
1年未満—100%

返済期日が近づくにつれて、資本としての効き目が毎年2割ずつ落ちていくということです。10年で借りた場合、資本の効果が満額なのは最初の5年間だけで、6年目から目減りが始まります。この点は、あとで返済期間を何年にするかを決めるときに効いてきますので、覚えておいてください。

日本政策金融公庫の資本性ローンは、いくら・何年・何%で借りられるのか?

民間の金融機関も独自に資本性劣後ローンを扱っていますが、中小企業が最初に検討することが多いのは日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)」です。公庫は国民生活事業と中小企業事業で条件が分かれており、規模がまったく違います。

項目国民生活事業中小企業事業
融資限度額7,200万円(別枠)15億円
返済期間5年1ヵ月以上20年以内5年1ヵ月または6年から20年までの各年(期限一括償還)
担保・保証人無担保・無保証人
返済方法期限一括償還(期間中は利息のみ)
提出書類事業計画書。完済まで四半期ごとの経営状況の報告等を含む特約を締結

利率は、直近決算の業績に応じて1年ごとに見直される仕組みです。2026年8月時点で公庫が公表している水準は次のとおりです。

直近決算の税引後当期純利益返済期間利率(年)
0円以上(黒字)5年1ヵ月3.25%
5年1ヵ月超7年以内3.40%
7年超10年以内3.65%
10年超15年以内3.80%
15年超20年以内3.95%
0円未満(赤字)期間にかかわらず一律0.50%

数字を眺めると、赤字のときの0.50%に目がいきます。ただ、これを「安い融資」と受け取るのは筋が違います。黒字になれば3%台に上がる設計であり、金利が低いのは業績が悪い期間だけです。むしろ「稼げるようになったら相応に払う」という出資に近い性質が金利にも表れていると考えるほうが、判断を誤りません。

利率の刻み方は事業によって表記が少し異なりますが(中小企業事業は「6年または7年」「8年〜10年」といった年数の区切り)、水準は同じです。そのうえで、両事業に共通して利率を下げる特例が設けられています。①民間金融機関の支援を受けて事業計画書を策定していること、②その計画に必要な資金のうち、計画策定を支援した民間金融機関からの融資が原則として2分の1超であること、③融資後3年間、その金融機関に進捗を報告し経営指導を受けること。この3つをすべて満たすと、黒字であっても融資後3年間の利率が0.50%になります。この設計を見るかぎり、公庫は民間金融機関と組んで動く会社を明確に優遇しています。

誰が使えるのか? 対象になる資金と2つの条件

国民生活事業の資本性ローンは、単独で申し込む制度ではありません。まず公庫の既存の融資制度のいずれかに該当したうえで、その返済条件を資本性のものに変えるという組み立てになっています。対象となるのは次の7つです。

  • 新規開業・スタートアップ支援資金
  • 新事業活動促進資金
  • 企業再建資金
  • 企業活力強化資金(中小企業省力化投資補助金の交付決定を受けている方に限る)
  • 海外展開・事業再編資金(海外直接投資を行う方に限る。転貸資金を除く)
  • 事業承継・集約・活性化支援資金(一部除外あり)
  • ソーシャルビジネス支援資金

加えて、地域経済活性化にかかる事業を行うこと、税務申告を1期以上している場合は原則として所得税等を完納していることの2つを満たす必要があります。使いみちは、該当する融資制度に定められた設備資金と運転資金です。

この一覧で目を引くのが、企業活力強化資金に付いた括弧書きです。省力化投資補助金 一般型の交付決定を受けている会社なら、この経路で資本性ローンを検討できます。補助金は原則として後払いですから、設備を先に買う資金が要る。そこを長期の期限一括で組めるという設計は、実務ではかなり噛み合います。

創業期の会社については、対象の1つ目に新規開業・スタートアップ支援資金が入っています。ただし、税務申告前の完全な創業段階でいきなり資本性ローンが出るかというと、そこは審査の話になります。まずは日本政策金融公庫の創業融資の枠組みを押さえたうえで、支店に相談する順番が現実的です。

既存の借入を資本性劣後ローンに借り換えられるのか?

考え方としては可能です。金融庁FAQ問16は「既存の借入金からの転換に限らず、新規融資であっても、条件が確保されていれば資本性借入金とみなして取り扱うことが可能」としており、転換も新規も等しく認めています。もともとこの取扱いは、既存の借入を資本性のものに切り替えて資金繰りを楽にすることを想定して整理されたものです。

ただし、公庫の資本性ローンで既存借入を返済できるかは、上に挙げた各融資制度で認められた資金使途の範囲によります。制度ごとに違いますので、借換を目的にするならその旨を最初に伝えて、どの制度で受けられるかを支店に確認するのが早道です。

借りたあと、取引銀行は本当に自己資本とみなしてくれるのか?

ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。

公庫から資本性ローンを借りれば、取引先の銀行や信用金庫が自動的に資本とみなしてくれる、と思っておられる方が少なくありません。ところが金融庁FAQ問14の書きぶりは、そうなっていません。

他の金融機関からの借入金であっても、資本に準じて、原則として、「長期間償還不要な状態」、「配当可能利益に応じた金利設定」、「法的破綻時の劣後性」といった条件が確保されていれば、「資本性借入金」として、当該借入金を債務者の資本とみなして取り扱うことが可能なものと考えられます。(問14)

「可能なものと考えられます」。つまり他行から借りた資本性借入金を資本とみなすかどうかは、その金融機関の判断に委ねられています。やらなければならない、とはどこにも書かれていません。

では、その金融機関はどうやって条件を確認するのか。続く問15に、実務がそのまま書かれています。

他の金融機関からの借入金の条件については、例えば、債務者自身から契約内容を直接確認する方法が考えられます。(問15)

債務者自身から、です。銀行が他行の融資契約を勝手に見ることはできません。決算書の勘定科目内訳明細書に「長期借入金 日本政策金融公庫」と並んでいるだけでは、それが資本性ローンなのか、普通の設備資金なのか、担当者には判別がつかないのです。私が審査をしていたころも、他行の借入条件は事業者から聞くか、契約書を見せていただくかしか方法がありませんでした。

ですから、借りた後にやることは決まっています。

  • 決算書ができたら、契約書の写しを持って取引金融機関を回る。返済期日・期限一括であること・業績連動の金利・劣後特約の4点が書かれたページを開いて見せる
  • 勘定科目を工夫する。長期借入金の中に埋もれさせず、内訳明細で資本性借入金であることが分かるように表示しておくと、見落とされにくくなる
  • 毎年繰り返す。問15は「条件が満たされているか否かを定期的にチェックする必要がある」とも書いています。1度伝えれば終わりではなく、決算のたびに確認してもらう前提です

説明に行く先の温度差も、頭に入れておくと段取りが変わります。私の経験では、プロパーで貸している金融機関は自行のリスクで判断しているぶん反応が早く、信用保証協会付きが中心の先は「協会がどう見るか」を待つ姿勢になりやすい傾向があります。前者には財務内容が実態としてどう改善したかを数字で示し、後者にはメインバンクとしての協調をお願いする。同じ資料を配るにしても、力点は変えたほうが通ります。

建設業は経営事項審査でも自己資本に加算できるようになった

建設業を営んでおられる方には、2025年に大きな変更がありました。国土交通省が「資本性借入金に係る経営事項審査の事務取扱いについて」(令和7年6月25日付 国不建第41号)を通知し、令和7年7月1日以降の経営状況分析の申請から、資本性借入金を負債から控除して自己資本に加算できることになったのです。

公共工事の入札参加資格に直結する経審の点数が動く話ですから、影響は小さくありません。ところが、いまも検索上位に出てくる解説記事のなかには「経審では自己資本への加算は適用できない」と書いたまま更新されていないものがあります。改正前に書かれた記事です。制度の話は書かれた時点を確かめないと危ない、という典型例だと思います。

通知の中身を整理すると、こうなります。

項目内容(国不建第41号・令和7年6月25日)
適用開始令和7年7月1日以降の経営状況分析の申請から(審査基準日が令和7年3月31日以降、かつ単独決算での申請者に限る。連結決算は対象外)
要件①償還期間が5年超 ②期限一括償還 ③配当可能利益に応じた金利設定(業績連動型が原則) ④法的破綻時の劣後性の確保 ⑤貸出主が金融機関(政府系を含む)であること等
影響する審査項目負債回転期間(負債から控除)、自己資本比率・自己資本対固定資産比率・X21自己資本(自己資本に加算)
逓減残存期間が5年未満となった負債は、1年ごとに20%ずつ自己資本とみなす部分を逓減
手続き公認会計士・税理士・建設業経理士1級等が指定様式で「資本性借入金」該当証明書を作成。経営状況分析申請書等とともに証明書・契約書の写しを登録経営状況分析機関へ提出し、経営規模等評価申請書の自己資本額にも加算して審査行政庁へ申請

要件は金融庁のものとほぼ同じですが、手続きが1つ増えている点に注意してください。証明書は誰でも書けるわけではなく、公認会計士・税理士・建設業経理士1級といった有資格者の証明が要ります。決算が固まってから顧問税理士に相談すると間に合わないことがありますので、経審の申請時期から逆算して先に話を通しておくのが安全です。

建設業の資金繰りそのもの(前払金・中間前払金や出来高融資の使い方)は、「建設業の資金繰りが厳しい理由と改善策」にまとめています。

出口はどう作るのか? 効果が減り始める5年前から逆算する

資本性劣後ローンで一番怖いのは、満期です。期間中は利息だけを払えばよく、資金繰りは確かに楽になります。その代わり、最終回に元金の全額が一度に来ます。7,200万円を借りたなら、7,200万円を1回で返す日が必ず来ます。

先ほどの逓減表を、時間の流れとして並べ替えるとこうなります。10年で1,000万円を借りた場合の例です。

経過残存期間資本とみなされる額この時期にやっておくこと
1〜5年目5年以上1,000万円(100%)効果が満額の期間。この間に本業の利益を出し、内部留保で純資産そのものを積む
6年目4年以上5年未満800万円(80%)目減りが始まる。決算説明のときに取引金融機関へ出口の考え方を先に伝えておく
7年目3年以上4年未満600万円(60%)借換・借入継続の可否を公庫と民間の双方に打診し始める
8〜9年目1年以上3年未満400万円→200万円返済原資の目途を数字で示せる状態にする
10年目1年未満0円(全額が負債)満期。一括返済または借換

この表の使い方は単純で、返済期間を何年にするかは「資本の効果を何年間フルに使いたいか」から決めるということです。5年1ヵ月で借りれば金利は最も低い区分になりますが、資本として満額みなされる期間はほとんどありません。逆に20年で借りれば15年間は満額ですが、その分だけ金利区分は上がります。効果の長さと金利は交換関係にあります。

そして、出口の準備は早いほど選択肢が多く残ります。資金繰りが厳しくなってから相談に来られるケースを何度も見てきましたが、「2週間後に必要です」と言われて動ける金融機関はありません。「あと1年は大丈夫」と思えるうちに動き出した会社のほうが、結果として条件のよい着地をしています。満期の話も同じで、6年目に目減りが始まった時点で相談を始めるのがちょうどよい時期です。返済原資を数字で示すには資金繰り表の作り方で解説した月次の資金繰り表が土台になります。

申し込む前に確かめておきたいこと

ここまで利点を中心に書いてきましたので、負担の側も並べておきます。

事業計画書は必須で、審査は通常の融資より重い。公庫は「公庫が適切と認める事業計画書」の提出を求めています。資本に準じた条件で長期に貸すのですから、当然といえば当然です。赤字であっても計画は作れますが、金融機関が見たいのは「いま苦しいが1〜2年後に黒字化する道筋」と、その根拠になる数字です。この組み立て方は経営改善計画書の書き方で詳しく書きました。

四半期ごとの報告が完済まで続く。これは契約上の特約です。20年で借りれば、80回にわたって数字を出し続けることになります。ここで実務的に効いてくるのが顧問会計事務所との関係で、月次の試算表が出てこない状態になると報告そのものが回らなくなります。私が再生局面の会社を支援するときは、何をおいてもまず会計顧問の継続を確保します。数字が出てこなくなった時点で、次の経営判断ができなくなるからです。

期限前の返済は、契約でどう定められているかを必ず確認する。金融庁FAQ問12は「債務者自らの意思により期限前弁済を行うことは、差し支えない」としつつ、「債権者の意思により期限前回収が可能な契約が付されている借入金は、長期間償還不要な状態とは認められない」と整理しています。解説記事のなかには「繰上返済は一律に不可」と書いているものもありますが、金融庁の考え方はそうではありません。実際にどうなるかは個々の契約次第ですので、契約書の条項で確かめてください。

そして、資本性ローンは万能薬ではありません。財務内容の見え方を変える手段であって、稼ぐ力そのものを増やすものではないからです。5年赤字が続いていて経営体制も変わらない会社に長期の資金を入れても、満期に同じ問題が残るだけ、という場面も現実にあります。使うべきかどうかは、この資金があれば黒字化の道筋が具体的に描けるかで判断してください。描けないなら、先に手をつけるのは事業のほうです。返済条件の見直しが先という判断になることもあります(リスケとはで整理しています)。

資本性劣後ローンについてよくある質問

「新型コロナ対策資本性劣後ローン」とは別の制度ですか?

別の制度です。検索で出てくる「新型コロナ対策資本性劣後ローン」は、正式には「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付」といい、新型コロナの影響を受けた事業者を対象に、当初3年間の利率を一律0.5%にするなどの措置が付いた制度でした。本記事で扱っている「挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)」は、コロナ以前から公庫が案内している制度です。コロナ対応分の現在の取扱いは公庫の各支店にご確認ください。

DDS(デット・デット・スワップ)とは何が違うのですか?

ねらいは同じで、経路が違います。DDSは既存の借入金を既存の取引金融機関が劣後ローンに切り替える手法で、再生局面で用いられることが多いものです。公庫の資本性ローンは新たな資金が入る融資です。金融庁の資本性借入金の枠組みは既存借入の転換も新規融資も対象にしているため、どちらも条件を満たせば資本とみなす対象になります。

資本性劣後ローンを借りていると、補助金の審査で有利になりますか?

直接の加点になるという公表された仕組みはありません。融資の審査と補助金の審査は目的も基準も別のものです。融資は返済可能性を見ますが、補助金は政策的な意義や事業の実現性を審査項目に沿って評価します。共通するのは「計画の数字に根拠があるか」を問われる点だけで、そこは確かに重なります。

信用保証協会の保証付き融資を、資本性借入金に切り替えることはできますか?

原則としてはできません。金融庁の資本性借入金関係FAQ問11は、保証が実行された場合に返済条件・金利設定・劣後性が保証人に引き継がれないため、保証付借入金は基本的には資本性借入金に該当しないとしています。ただし、保証の実行後もこれらの条件が確保できる仕組みを備えるなど、例外的に認められる場合もあるとされています。

個人事業主でも申し込めますか?

公庫の国民生活事業の資本性ローンは「法人または個人企業」を対象としており、個人事業主も形式上は対象に含まれます。ただし対象となる7つの融資制度のいずれかに該当することと、地域経済活性化にかかる事業であることが前提です。実際に使えるかどうかは事業の内容と規模によりますので、支店で相談してみてください。


資本性劣後ローンは、条件を満たせば借入が資本に見える制度ですが、その効果を実際に受け取れるかどうかは、借りた後に取引金融機関へどう伝えるかで変わります。当社は査定をする側にいた元銀行員として、自社が対象になりうるかの整理から、事業計画書の組み立て、金融機関への説明までを一緒に進めています。融資・資金調達の支援サービスをご覧いただき、無料相談はこちら(お問い合わせフォーム)からお気軽にご相談ください。認定経営革新等支援機関としての関与が必要な場面については認定経営革新等支援機関とはもあわせてどうぞ。


監修:池田哲郎。八十二銀行で法人融資の審査・経営改善支援に従事し、事業計画や決算を「審査する側」として100件超を見てきた経験を持つ。現在は中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、山梨県で融資・補助金・経営計画の支援を行う。本記事の制度情報は、日本政策金融公庫「挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)(国民生活事業)」「同(中小企業事業)」、金融庁「資本性借入金関係FAQ」(令和2年5月27日)、金融庁「「資本性借入金」の積極的活用について」、国土交通省「資本性借入金に係る経営事項審査の事務取扱いについて(令和7年7月1日)」の公表内容(2026年8月24日確認時点)に基づきます。融資限度額・利率・対象要件は改定されることがあり、実際の適用は個別の審査によりますので、最新の条件は公庫の公式ページと各支店でご確認ください。

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