補助金

省力化投資補助金 一般型とは|補助率・賃上げ要件・採択のコツ【2026年・第7回】

省力化投資補助金 一般型とは|補助率・賃上げ要件・採択のコツ【2026年・第7回】のカバー画像
池田計画合同会社

公開日:2026年6月29日 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)

「人手が足りない。設備を入れて省力化したいが、カタログにある製品では自社の現場に合わない」——そんな山梨県内の経営者から増えているのが、省力化投資補助金の一般型に関するご相談です。

結論から言えば、一般型は「カタログにない、自社専用の省力化設備・システムをオーダーメイドで導入したい中小企業」のための枠です。補助上限は従業員規模に応じて最大1億円、補助率は中小企業1/2・小規模事業者2/3。カタログから選ぶだけの「カタログ注文型」と違い、自分で事業計画を作って審査を受けるのが大きな特徴です。第7回公募は2026年7月1日に受付が始まり、締切は7月31日17:00。第7回に間に合わなくても、公募は年3〜4回の予定で続きます(第8回の日程は事務局が確定次第公表)

【2026年7月29日時点の状況】第7回公募の締切は7月31日(金)17:00です。ここから新規に計画を組み立てて出すのは、正直おすすめしません。この記事は、締切に間に合う方の最終確認と、次の公募回を狙う方の準備の両方に使えるよう、審査で使われる計算式・口頭審査・公募間隔まで含めて書いています。

はじめにお断りしておくと、融資の審査と補助金の審査は別物です。融資は「貸したお金が返ってくるか」を、補助金は「その事業に政策的な意義と実現性があるか」を見るもので、評価する主体も基準も異なります。ただ、どちらにも共通して効くのは「計画の数字に根拠があるか」を厳しく問う目です。私は元銀行員として長く法人融資の審査に携わってきました。その目線から、特につまずきやすい賃上げ要件と、採択される計画のつくり方を実務目線で整理します。


省力化投資補助金「一般型」とは|カタログ注文型との違い

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業がIoT・ロボット・AIなどを活用した省力化設備を導入する費用を補助する、国の制度です。この補助金には「カタログ注文型」と「一般型」の2つの類型があります。

カタログ注文型は、事務局があらかじめ登録した汎用製品の「カタログ」から選んで導入する、手続きの簡単な型です。これに対して一般型は、カタログに載っていない設備や、自社の現場に合わせたオーダーメイド(セミオーダーメイドを含む)の設備・システムを導入できる型です。その代わり、自社で事業計画書を作り、審査を受ける必要があります。

比較項目カタログ注文型一般型
対象設備カタログ登録済みの汎用製品オーダーメイドの専用設備・システム
事業計画簡易(製品を選んで申請)3〜5年の事業計画書を作成し審査
補助上限製品・従業員数による750万円〜最大1億円
向いている事業者定番の省力化機器で足りる自社の工程に合わせた自動化が必要

判断の目安はシンプルです。カタログに載っている製品をそのまま導入できるならカタログ注文型、自社の業務に合わせた設計が必要なら一般型です。なお公募要領上も、カタログに掲載されている製品はまずカタログ注文型での申請が原則とされています。ただし、その製品を導入環境に応じて周辺機器や機能を変えて導入する場合などは、一般型の対象になります。カタログ注文型の補助上限・要件は省力化投資補助金 カタログ注文型の解説記事で詳しく解説しています。

補助上限・補助率【従業員規模別の早見表】

一般型の補助上限は、従業員数によって変わります。カッコ内は「大幅賃上げの特例」を満たした場合の引き上げ後の上限です。

従業員数補助上限(通常)大幅賃上げ特例の適用時
5人以下750万円1,000万円
6〜20人1,500万円2,000万円
21〜50人3,000万円4,000万円
51〜100人5,000万円6,500万円
101人以上8,000万円1億円

補助率は、中小企業が1/2、小規模企業者・小規模事業者と再生事業者が2/3です(NPO・社会福祉法人・歯科医業を営む医療法人は、従業員20人以下なら2/3)。さらに「最低賃金引き上げに係る特例」の要件を満たす中小企業は、補助率が2/3に引き上げられます。

ここで一点、注意があります。以前の公募回にあった「1,500万円までは1/2、超過分は1/3」といった段階的な補助率は、第7回の公募要領には記載がありません。古い解説記事の数字をそのまま信じないよう、必ず最新の公募要領で確認してください。

そのほかの基本条件は次のとおりです。

  • 対象経費:機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費。うち、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必ず1つ以上必要です。
  • 事業実施期間:交付決定日から18か月以内(採択発表日からは20か月以内)。
  • 収益納付:求められません。

任意経費には「総額の何分の1まで」という枠がある

見落とされがちなのが、機械装置・システム構築費以外の経費(任意経費)にかけられている上限です。第7回公募要領では、経費区分ごとの比率上限と、任意経費全体の金額上限が別々に定められています。

経費区分上限
機械装置・システム構築費(必須)上限なし。単価50万円(税抜)以上の設備投資が1つ以上必要
技術導入費補助対象経費総額(税抜)の3分の1
知的財産権等関連経費補助対象経費総額(税抜)の3分の1
外注費補助対象経費総額(税抜)の2分の1
専門家経費補助対象経費総額(税抜)の2分の1。かつ1日あたり5万円が上限
運搬費・クラウドサービス利用費比率の定めなし
機械装置・システム構築費以外の経費は、合計で500万円(税抜)までが補助上限

つまり、経費区分ごとの比率をクリアしていても、任意経費の合計が500万円を超えた分は補助されません。設計や外注の比重が大きい案件ほど、ここで想定が狂います。経費の内訳は、先に上限の枠に収まるかを確かめてから積み上げるほうが早いというのが実感です。

あわせて注意しておきたいのが、支出のタイミングです。交付決定前に発生した経費は、いかなる理由であっても補助対象になりません。採択の連絡が来ても、その時点ではまだ発注できません。「採択されたので早く進めたい」という気持ちはわかるのですが、交付決定を待たずに動くと、その経費だけが自己負担として残ります。

対象になる事業者・ならない事業

補助対象者は、中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人(NPO)、社会福祉法人、そして歯科医業を営む医療法人(医療法第44条に基づき都道府県知事の認可を受けて設立され、従業員数300人以下であること)です。中小企業者の場合は、資本金・常勤従業員数が業種ごとの中小企業の範囲内であることが条件になります。

一方で、次のような事業は補助の対象外です。一般型の趣旨を外すと不採択になるので、自社の計画が当てはまっていないか確認してください。

  • 汎用設備やパッケージソフトを、オーダーメイド性なく単体で導入するだけの事業
  • 事業の主たる課題の解決そのものを、他社へ外注・委託する事業
  • 将来の対外販売を前提とした設備・システムの開発を含む事業
  • 利用者に有償で提供する設備・システム・サービスの開発・改良を含む事業

また、応募申請時に従業員が0名の事業者、または後述する「1人当たり給与支給総額の対象となる従業員」が0名の事業者は、この補助金に応募できません。

事業者側の除外規定も第7回公募要領に列挙されています。実務でひっかかりやすいのは次の2つです。公募開始日から5年前の日以降に、補助事業に関連する法令違反があった事業者は補助対象外になります。もう1つは、親会社が議決権の50%超を持つ子会社や、代表者が同じ法人を「みなし同一法人」として扱う規定で、この場合はグループのうち1社しか申請できません。グループ会社を複数お持ちの方は、どの法人で出すかを最初に決めておく必要があります。

【最重要】賃上げ要件の考え方|ここでつまずく人が多い

一般型でいちばん多いご質問が、賃上げ要件です。「労働生産性」より、むしろ1人当たり給与支給総額のほうが、対象者・基準年度・達成期限がわかりにくく、悩まれる方が多い部分です。順番に整理します。

まず、一般型では次の基本要件をすべて満たす3〜5年の事業計画を作る必要があります。

  • ① 労働生産性の年平均成長率を+4.0%以上とすること
  • ② 1人当たり給与支給総額の年平均成長率を+3.5%以上とすること
  • ③ 事業場内最低賃金を、事業実施都道府県の最低賃金+30円以上の水準とすること
  • ④ 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表(従業員21名以上の場合のみ)

「1人当たり給与支給総額」の対象になるのは誰か

ここが最初の関門です。1人当たり給与支給総額の計算で対象になる従業員は、「基準年度およびその算定対象となる各事業年度において、全月分の給与等の支給を受けた従業員」です。つまり、その年度の途中に入社した人や、途中で退職した人は、全月分の給与を受け取っていないため、その事業年度に限って計算の対象から外す必要があります。1年を通して在籍し、毎月給与を受けている人だけで「1人当たり」を計算する、という考え方です。

算定対象となる給与等は、給料・賃金・賞与と、各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当)など、給与所得として課税対象になるものです。福利厚生費・法定福利費・退職金は含みません。また、産前産後休業・育児休業・介護休業などで時短勤務になっている従業員は、計算から除くことができます。なお個人事業主の場合、事業主本人や専従者の給与は「1人当たり給与支給総額」には含めません。

基準年度はいつになるのか

基準年度は、応募申請時の直近の決算期です。ここを起点に、事業計画の最終年度までの伸び率を見ます。応募申請時の1人当たり給与支給総額は、指定様式の「1人当たり給与支給総額の確認書」を使って算出します。

いつまでに賃上げすればいいのか(最大の誤解ポイント)

「毎年3.5%ずつ上げ続けないといけないのか」と心配される方が非常に多いのですが、そうではありません。公募要領のFAQでも明確にされていますが、ここでいう「事業計画終了時点」とは、3年計画なら3年後、5年計画なら5年後を指します。そしてその最終年度に、基準年度と比べて年平均成長率(CAGR)で3.5%に達していればよく、途中の年度で目標の増加率に届いていなくても、返還を求められることはありません。

年平均成長率はあくまで「最終的な伸び」で見るため、3年計画で3.5%を目標にする場合、3年後に基準年度比で約10.87%以上(5年計画なら約18.8%以上)増えていればよい、という計算になります。毎年きっちり3.5%ずつ、という意味ではありません。

一方で、混同しやすいのが基本要件③の事業場内最低賃金(+30円)です。こちらは「毎年」クリアし続ける必要があり、補助事業完了の翌年度以降、毎年3月末時点で水準を満たしていないと、補助金の返還対象になります。「給与支給総額は最終年度で達成すればよい/最低賃金は毎年維持」。この違いを取り違えないことが大切です。

要件達成のタイミング
1人当たり給与支給総額 +3.5%(年平均)事業計画の最終年度に達成すればよい(途中年度の未達は不問)
事業場内最低賃金 +30円以上毎年維持(毎年3月末時点で確認)

なお、目標値そのものは自社で設定し、交付申請時までに全従業員(または従業員代表)と役員に対して「賃金引き上げ計画の表明書」で表明する必要があります。賃上げは「申請して終わり」ではなく、実行が前提の約束だということです。

大幅賃上げの特例で上限を引き上げたい場合

補助上限を引き上げる「大幅賃上げの特例」を使うには、基本要件に加えて次の両方が必要です。

  • ① 1人当たり給与支給総額の年平均成長率を、基本の+3.5%にさらに+2.5%上乗せした+6.0%以上とすること
  • ② 事業場内最低賃金を、都道府県の最低賃金+50円以上の水準とすること

これを満たすと、従業員5人以下で+250万円、6〜20人で+500万円、21〜50人で+1,000万円、51〜100人で+1,500万円、101人以上で+2,000万円、上限が上乗せされます。ただし未達なら引き上げ分の返還を求められるので、実現可能性のある数字に限って狙うべきです。

元銀行員として正直に申し上げると、賃上げ計画が「絵に描いた餅」だと、審査でも実行段階でも必ず詰まります。付加価値額の増加と給与原資の増加が数字としてつながっているか。ここが審査で見られるポイントです。売上や粗利の裏付けがないまま賃上げ率だけ高く書いても、説得力は生まれません。

省力化指数・投資回収期間・付加価値額はどう計算するのか

一般型の技術面の審査は、省力化指数・投資回収期間・付加価値額・オーダーメイド設備という4つの観点で行われます。このうち前の3つは、第7回公募要領の「定義」に計算式が明記されています。審査は「省力化できそうか」という印象で決まるのではなく、この式に自社の数字を入れた結果と、その算出根拠が妥当かで見られるということです。式を知らないまま書き始めると、あとで数字を入れ直すことになります。

指標公募要領に定められた計算式
省力化指数[(設備導入により削減される業務に要していた時間)-(設備導入後に発生する業務に要する時間)]÷(設備導入により削減される業務に要していた時間)
投資回収期間投資額 ÷(削減工数 × 年間稼働日数 × 人件費単価 + 増加した付加価値額)
付加価値額営業利益 + 人件費 + 減価償却費
労働生産性付加価値額 ÷ 労働者数(従業員数に役員を加えた人数。個人事業主は事業主本人と専従者を含む)

省力化指数は、削減できた割合を表す0〜1の数字です。既存業務の削減時間を入れるのが基本ですが、新規出店の場合は、その新しい業務プロセスで将来的に必要になったはずの人手の削減時間も入れられます。労働生産性の「労働者数」に役員を含める点は間違えやすいので、確認しておいてください。

私が初回の打ち合わせでまずやるのは、この式に現状の数字を入れてみることです。設備の話をする前に、削減できる業務時間と投資額を仮置きして省力化指数と投資回収期間を出す。ここで指数が思ったほど伸びないなら、設備の選び方か、対象にする工程のほうを考え直したほうが早いからです。

年平均成長率は、最終年度に何%増えていればいいのか

労働生産性も1人当たり給与支給総額も、公募要領の式は年平均成長率(CAGR)で定義されています。「応募申請時の値に対して効果報告時の値が何倍になったか」を、効果報告の回数で累乗根をとる形です。目標の年率を、計画年数ごとの累計の増加率に直すと次のようになります。

要件求められる年平均成長率3年計画での累計増加率5年計画での累計増加率
労働生産性+4.0%以上約12.5%以上約21.7%以上
1人当たり給与支給総額+3.5%以上約10.9%以上約18.8%以上
1人当たり給与支給総額(大幅賃上げの特例)+6.0%以上約19.1%以上約33.8%以上

この表の右2列は、年率を計画年数で複利計算した値です。自社の基準年度の1人当たり給与支給総額にこの率を掛ければ、最終年度にいくらまで上げる約束をすることになるのかが金額で出ます。率のままでは実感が湧かないので、私は必ず金額に直してお見せするようにしています。「3.5%」は小さく見えても、人数分の総額に直すと印象が変わる数字だからです。

審査で評価される事業計画のつくり方

一般型はカタログ注文型と違い、事業計画の中身で採否が決まります。技術面に加えて、計画面と政策面が審査されます。公募要領の計画面の観点には、次のような項目が並んでいます。

  • 社内外の体制や最近の財務状況、サイバーセキュリティ対策の状況から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか
  • 成果が優位性や収益性を持ち、省力化の結果に至るまでの遂行方法とスケジュールが妥当か
  • 高い賃上げの目標値が設定され、かつその実現可能性が高いか
  • 部分的な省力化にとどまらず、省力化した時間や労働力を高付加価値業務に振り向けることで、会社全体にシナジーをもたらす取組か

1つ目に金融機関からの資金調達が入っているのは、この補助金が後払いだからです。設備代金は一度全額を自社で払う必要があり、そこが詰まれば計画は動きません。審査側は「この会社は立て替え資金を用意できるのか」を見ています。私は金融機関で法人融資の審査をしていましたが、そこで見ていたのも結局は同じで、計画が資金の裏付けを持っているかどうかでした。融資審査と補助金審査は別物ですが、この一点だけは重なります。決算書の内容に不安がある場合は、補助金の申請と並行して、補助金のつなぎ融資の相談を先に始めておくほうが安全です。

私がこれまで多くの計画を見送る側として見てきた経験から、申請前に必ずお伝えしているのは次の3点です。融資審査と補助金審査は別物ですが、「数字に根拠があるか」を問う目線は共通します。

  • 解決できる課題だけを書く。自社で解決しきれない大きな課題まで広げて書くと、計画の実現性が疑われます。
  • 主張には必ず数字の裏付けを。「省力化できる」ではなく、何時間の作業が何時間に減り、その工数をどんな付加価値(増産・新サービス・受注対応)に振り向けるのかまで落とし込む。
  • 経費は自社の事業に合わせてカスタマイズする。私が関わったある補助金の不採択分析でも、事業内容自体はしっかりしているのに、事業者に合わない経費構成(汎用的な広告費が多いなど)で落ちた例がありました。テンプレートのような経費の並べ方は、事業との整合性を欠いて見えます。

「現状→課題→解決策→効果」のストーリーで書く

採択される計画書に共通するのは、設備の説明から入らず、ストーリーで読ませることです。具体的には次の流れで組み立てます。

  • 現状:今の生産量・人員・稼働状況・受注に対する処理能力を、数字で示す
  • 課題:どの工程がボトルネックで、人手不足が何を妨げているのか
  • 解決策:その課題を解くために、なぜこの省力化設備が必要なのか(汎用品では足りずオーダーメイドが要る理由)
  • 効果:導入後に削減できる工数と、その工数で生み出す付加価値・売上・賃上げ原資

審査員が見るのは「設備が高機能か」ではなく、この会社ならこの計画を実現できそうかです。「認知が不足」ではなく「新規受注の○%が紹介経由で、営業に手が回っていない」というように、一段具体的に書けるかで説得力が変わります。

省力化を「人減らし」と書かない(最大の落とし穴)

これは省力化投資補助金で特に多い失敗です。「人件費を○○万円削減できる」を主目的に書くと、かえって弱い計画になります。中小企業の現場では、省力化しても実際に人を減らせるケースは多くありません。減らした人件費が現金として浮くわけでもありません。本制度の目的も「人手不足の解消と、付加価値・賃上げにつなげること」です。

ですから訴求の着地点は、「浮いた工数を、これまで手が回らなかった付加価値の高い仕事(増産対応・新規受注・新サービス)に振り向ける」という前向きな成長ストーリーに置きます。削減ではなく、同じ人数でより多くを生み出す——この描き方が、付加価値額の成長目標とも自然につながります。

加えて、第7回では機械装置・システムの仕様や積算根拠の資料がより重視されます。システム構築費を計上する場合は、積算根拠が明確な見積書と仕様書の提出が求められます。「システム開発一式」のような曖昧な見積では通りません。採択後の交付申請手続きでは、発注先1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の物件について、同一条件による相見積もりを取り、最低価格を提示した者を選ぶのが原則になります。最低価格の相手を選ばない場合は、選定理由書と価格の妥当性を示す書類が要ります。公募要領も、申請の準備段階であらかじめ複数者から見積を取っておくことを勧めています。見積書は業者任せにせず、補助対象・対象外の区分、日付、有効期限まで入れた雛形を作って業者に渡すのが確実です。現場の業者は補助金様式に不慣れなことが多く、ここでのつまずきが意外と多いためです。

加点と減点は裏表になっている

採択率を底上げする加点項目も用意されています。第7回の加点は10項目で、過去3年以内の事業承継・M&Aの実施、事業継続力強化計画の認定、成長加速マッチングサービスへの登録、地域別最低賃金の引き上げに係る加点、事業場内最低賃金の引き上げ(2025年7月と応募申請直近月を比べて全国目安の63円以上を賃上げした事業者)、えるぼし認定、くるみん認定、中小機構の「省力化ナビ」の活用、健康経営優良法人2026の認定、生産性向上支援センターの支援を受けた「生産性向上取組計画書」の提出です。加点は、申請するかどうかを決めきる前でも取れるものから取っておくのが実務です。認定に時間のかかるものほど、迷っている間に間に合わなくなります。

一方で、あまり知られていないのが減点の規定です。とくに重いのが、賃上げに関する加点を受けて採択されたのに、その加点項目の要件を達成できなかった場合の扱いです。未達が効果報告等で報告されてから18か月の間、正当な理由が認められない限り、中小企業庁が所管する補助金への申請で大幅に減点されます。対象はこの補助金だけではなく、ものづくり補助金・IT導入補助金・持続化補助金・事業承継M&A補助金・成長加速化補助金・事業再構築補助金・GoTech事業まで含まれます。もう1つは過剰投資の抑制で、同じ時期に類似のテーマや設備の申請が集中している場合は別途審査が行われ、過剰投資と判断されれば減点されます。

ですから、賃上げの加点を取るかどうかは、決算書を見て数字を出してから決めていただくようにしています。直近の決算書から給与支給総額を拾い、必要な賃上げ額を金額で示して、その上でペナルティの話をする。そこまでやらないと、判断が先延ばしになって結局間に合わないか、勢いで高い目標を置いて後から苦しむかのどちらかになりがちです。従業員数が少ない会社なら影響は限定的と判断されることが多く、人数が多い会社ほど慎重になる、というのが実際に見てきた傾向です。採択率を上げる準備の全体像は、補助金の採択率を上げるために申請前にやるべき3つのことで詳しく解説しています。

口頭審査では何を聞かれるのか

第7回公募要領には、書面審査とは別に口頭審査の規定があります。ソフトウェア投資やシステム開発など、書面では計画の詳細を正確に理解することが難しい案件を中心に、一定の基準で対象者が選ばれ、必要に応じてオンラインで実施されます。対象になる基準は公表されておらず、問い合わせても答えてもらえません。対象になった事業者にだけ連絡が来ます。一般型はオーダーメイドのシステム構築を含む案件が多いので、自分は関係ないとは考えないほうがよい部分です。

公募要領に書かれている実施方法は、次のとおりです。

  • Zoom等のオンラインで、1事業者あたり30分程度。会議用URLは事務局が発行する
  • カメラをオンにして、顔と耳と肩が明瞭に判別できるように上半身を映す。音声は録音される
  • 顔写真付きの身分証明書で本人確認を行い、周辺環境の確認もある。会社の会議室など他の人が映り込まない場所が必要で、公共スペースは不可
  • 対応するのは申請事業者自身(個人事業主本人、法人代表者、社外取締役を除く役員)。同席できるのは、申請時に申請担当者欄に記載した役員または従業員1名まで
  • 事業計画書の作成支援者・経営コンサルタント・社外顧問など、申請事業者と申請担当者以外の対応や同席は一切認められない
  • 審査中に申請者から質問することはできない。指定日時に審査を開始できない場合、本人確認ができない場合、認められない同席が確認された場合などは、申請を辞退したものとみなされて不採択になることがある

質問される内容として公募要領が挙げているのは、事業計画書を補完するための質問に加えて、本補助金に申請するにあたっての意思決定の背景など、事業計画書に記載のない内容です。ここが「代行してもらえばいい」という考え方が通用しない部分だと思います。なぜこの設備なのか、なぜ今なのか、この投資額をどう決めたのか。計画書に書いていないことを、その場で自分の言葉で説明することになります。

申請の流れと第7回スケジュール

申請にはGビズIDプライムアカウントが必須です。取得に時間がかかるため、まだお持ちでない方は今すぐ手続きを始めてください。第7回公募の日程は次のとおりです(2026年6月時点。最新は公式サイトでご確認ください)。

項目日程
公募開始2026年6月5日(金)
申請受付開始2026年7月1日(水)10:00
申請締切2026年7月31日(金)17:00
採択発表(予定)2026年11月中旬

第7回の締切に間に合わない場合も、慌てて生煮えの計画で出す必要はありません。事務局は公募を年3〜4回予定としており、第8回のスケジュールは確定次第公式サイトで公表されます。むしろ賃上げ要件の試算や見積の取得を丁寧に済ませ、次回に精度の高い計画で出すほうが採択に近づきます。

第8回はいつごろか|過去7回の公募間隔から逆算する

「次はいつですか」というご質問が多いので、公式サイトに掲載されている第1回からの実績を並べておきます。第8回の日程は事務局が公表するまで確定しませんが、間隔の傾向はここから読めます。

公募回公募開始日申請受付開始日公募締切日採択発表日
第1回2025年1月30日2025年3月19日2025年3月31日 17:002025年6月16日
第2回2025年4月15日2025年4月25日2025年5月30日 17:002025年8月8日
第3回2025年6月27日2025年8月4日2025年8月29日 17:002025年11月28日
第4回2025年9月19日2025年11月4日2025年11月27日 17:002026年3月6日
第5回2025年12月19日2026年2月2日2026年2月27日 17:002026年6月5日
第6回2026年3月13日2026年4月15日2026年5月15日 17:002026年8月下旬(予定)
第7回2026年6月5日2026年7月1日2026年7月31日 17:002026年11月中旬(予定)

公募開始日の間隔は、おおむね2か月半から3か月です。この傾向がそのまま続けば、第8回の公募開始は2026年の秋ごろ、締切はその2か月ほど後になる計算になります。あくまで過去の間隔からの見込みで、公式の予定ではありませんので、実際の日程は必ず公式サイトでご確認ください。それでも、「まだ半年ある」のか「2か月しかない」のかで、いま着手すべきかどうかの判断は変わるはずです。

準備期間の目安についても、正直に申し上げておきます。以前、あるIT開発会社から「顧客の開発案件にこの補助金を当てたい」というご相談をいただいたとき、私が最初に確認したのは締切までの残り日数でした。締切まで10日を切っていると、一般型の事業計画書は現実的に間に合いません。賃上げ要件の試算、相見積の取得、仕様書と積算根拠の整理まで含めると、事業者側の作業がそれなりに発生するからです。加えて、補助金が取れることを前提に開発の話を進めると、採択発表までペースが落ちてしまう。この補助金を使うか、使わずに進めるかは、早い段階で決めておいたほうがうまくいきます。

大まかな流れは、①GビズIDプライムの取得 → ②事業計画書・見積書・賃金引き上げ計画の表明書などの準備 → ③申請ポータルから応募 → ④審査・採択発表 → ⑤交付申請 → ⑥設備導入・支払い → ⑦実績報告 → ⑧補助金の入金、です。補助金は原則「後払い」で、設備代金はいったん自社で立て替える必要があります。つなぎ資金の確保まで含めて計画することが欠かせません。資金繰りの設計は、融資審査の視点と合わせて考えると安定します。

ものづくり補助金との使い分け

「設備投資の補助金」としてよく比較されるのが、ものづくり補助金です。ざっくり整理すると、ものづくり補助金は革新的な製品・サービスの開発のための設備投資、省力化投資補助金(一般型)は人手不足の解消=省力化のための設備投資が主眼です。新製品開発が目的ならものづくり補助金、現場の自動化・省人化が目的なら一般型、という選び方が基本になります。判断に迷う場合はものづくり補助金と省力化投資補助金の違い|どっちを選ぶで判断軸を整理していますので、あわせてご覧ください。詳しくはものづくり補助金 山梨の解説記事もどうぞ。

申請の支援・代行を頼みたい場合

一般型は3〜5年の事業計画書を自分で作って審査を受ける制度なので、「専門家に代行してほしい」というご相談をよくいただきます。ただ、国の補助金は事業者本人による申請が原則です。支援者にできるのは、賃上げ要件の試算・省力化効果の数値化・審査項目に沿った計画の組み立てといった伴走まで。丸投げで作られた計画は、交付申請や実績報告の段階で自社で説明できずに行き詰まるのを何度も見てきました。先ほどの口頭審査の規定は、そのことを制度の側からはっきり示しています。支援者は同席できず、社長が自分で答えることになるからです。頼み先を選ぶときは、この制度の支援実績を具体的に言えるか・料金条件を書面で示すか・不採択時の扱いを説明するかの3点を確かめてください。

池田計画合同会社では、認定経営革新等支援機関として、自社に合う制度の診断から、事業計画書の作成、交付申請・実績報告までワンストップで支援しています。AI補助金診断・補助金支援サービスもあわせてご活用ください。山梨県内の他の補助金を横断で確認したい方は、山梨県の中小企業が使える補助金・助成金一覧もご覧ください。

賃上げ要件の試算や、カタログ注文型との比較で自社がどちらに向くかは、書面だけでは判断しにくい部分も多くあります。具体的な数字で相談したい方はお問い合わせください。決算書と設備投資の計画を伺いながら整理します。

出典と確認日

この記事の制度数値・計算式・スケジュールは、2026年7月29日に次の一次資料で確認しています。補助金の要件は公募回ごとに変わりますので、申請の際は必ず最新の公募要領をご自身でもご確認ください。


よくある質問

カタログ注文型と一般型の違いは何ですか?

カタログ注文型は、登録済みの汎用製品をカタログから選んで導入する簡易な型です。一般型は、カタログにない設備や自社の現場に合わせたオーダーメイドの設備・システムを、3〜5年の事業計画書を作って審査を受けたうえで導入する型です。自社専用の設計が必要なら一般型を選びます。

賃上げは毎年3.5%ずつ必要ですか?

いいえ。1人当たり給与支給総額は、事業計画の最終年度に年平均成長率3.5%(3年計画なら基準年度比で約10.87%)に達していればよく、途中年度の未達では返還を求められません。ただし、事業場内最低賃金(都道府県最低賃金+30円以上)は毎年維持する必要があり、こちらは混同しないよう注意してください。

基準年度はいつですか?

応募申請時の直近の決算期が基準年度です。ここを起点に、事業計画の最終年度までの伸び率を計算します。

1人当たり給与支給総額の対象になる従業員は誰ですか?

基準年度およびその算定対象年度に、全月分の給与等の支給を受けた従業員です。年度途中の入社・退職などで全月分を受けていない人は、その年度に限り計算から除きます。個人事業主本人や専従者の給与は含みません。

第7回はいつまで申請できますか?間に合わない場合は?

第7回公募の申請受付は2026年7月1日10:00開始、締切は7月31日17:00です。採択発表は2026年11月中旬の予定です。間に合わない場合も公募は年3〜4回の予定で続き、第8回の日程は事務局サイトで確定次第公表されます。GビズIDプライムの取得に時間がかかるため、次回を狙う場合も準備は今から始めてください。

個人事業主でも申請できますか?

中小企業者の要件(業種ごとの資本金・常勤従業員数)を満たせば、個人事業主も対象になります。ただし、応募申請時に対象となる従業員が0名の場合は応募できません。自社が対象になるか不安な場合はご相談ください。

グループ会社が複数あります。同時に複数の申請を出せますか?

出せません。同一法人・事業者の応募は公募回ごとに1申請に限られ、同時申請はできません。さらに、親会社が議決権の50%超を持つ子会社や、代表者が同じ法人は「みなし同一法人」として扱われ、そのうち1社しか申請できません。孫会社まで同じ考え方が適用されます。グループのどの法人で申請するかは、計画づくりの前に決めておいてください。

リースで導入する場合も補助対象になりますか?

原則として、交付決定後に契約したリース・レンタルの費用は補助対象外です。ただし、公益社団法人リース事業協会の確認を受けた「対象リース会社」と共同で交付申請を行うスキームがあり、事業者が支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件に利用できます。この場合、リース会社が購入する機械設備の購入費用が対象になります。なお、リース契約に伴う金利や保険料は補助対象外です。

事業計画書の作成を手伝ってもらった費用は、専門家経費として補助対象になりますか?

なりません。第7回公募要領では、応募時に事業計画書の作成を支援した者は専門家経費の補助対象外と明記されています。専門家経費として計上できるのは、補助事業の実施のために依頼した専門家への支払い(1日5万円が上限、補助対象経費総額の2分の1まで)で、申請書づくりの支援料はここに含められません。支援を依頼する際は、この費用は自己負担になる前提で見ておいてください。

どの補助金が使えるか、無料で診断します

採択率88.2%・元銀行員の中小企業診断士が、貴社に合う制度と申請までの道筋を初回無料でご案内します。

無料相談はこちら