融資・資金調達

信用保証協会の審査とは|落ちる理由・保証料率9区分と通すための準備を元銀行員が解説【2026年】

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池田計画合同会社

公開日:2026年8月28日 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)

「銀行に融資を申し込んだら、保証協会の審査が下りませんでしたと言われた」。この一言を持ってご相談に来られる経営者の方は、決して少なくありません。困るのは、そこから先が何も分からないことです。何が足りなかったのか、次はどうすればいいのか、そもそも本当に保証協会で止まったのか。銀行の担当者に聞いても、はっきりした答えは返ってこない。

結論から言えば、信用保証協会の審査とは、お金を貸すかどうかの審査ではなく、公的な保証人になってよい相手かどうかを判断する審査です。山梨県信用保証協会は、その判断材料を「事業内容、資金の妥当性、将来性など」と公表しています。融資の可否を決めるのは金融機関で、保証協会が決めるのは保証の諾否。この二つが別々に走っていることが、話を分かりにくくしています。

私は元銀行員で法人融資の審査に携わっていました。保証協会に保証を依頼する書類を、実際に作って送っていた側です。いまは中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、山梨を中心に資金調達のご相談を受けています。だから正直に書けることがあります。経営者の方が「協会に落とされた」と受け取っている事案のなかには、そもそも協会まで書類が届いていなかったケースが混じっています。

この記事では、公表されている一次資料をもとに、審査の対象外になる条件、審査の評価が保証料率にどう表れるか、そして申込前に自分で整えられることを順に整理します。制度の数値は主に山梨県信用保証協会の公表内容(2026年8月時点)を使いますが、料率体系や取扱いは協会ごとに異なります。他県の方は、お住まいの地域の協会の公表値に読み替えてください。

信用保証協会の審査とは、何を判断する審査なのか?

審査の中身に入る前に、保証協会という組織が何をしているのかを押さえておくと、後の話が早くなります。

信用保証協会は、中小企業・小規模事業者が金融機関から融資を受けやすくするために、公的な保証人になる機関です。都道府県単位に47、市単位に4、全国で51の協会があります。ここで大事なのは、協会自身は融資をしないという点です。お金を出すのはあくまで金融機関で、協会はその借入に保証を付けるだけです。

山梨県信用保証協会は、この仕組みを次のように説明しています。「信用保証協会では、事業内容、資金の妥当性、将来性などを審査し、保証の諾否を決定します」。保証を承諾すると、協会は信用保証書を金融機関に交付し、金融機関はその保証書に基づいて融資を実行します。

つまり、一つの借入に対して判断する主体が二つあります。整理すると、こうなります。

判断する主体何を決めるか判断の軸
金融機関(銀行・信金・信組など)融資をするかどうか、いくら・何年で貸すか返済してもらえるか(返済可能性)
信用保証協会保証を承諾するかどうか、保証料率をいくらにするか公的な保証人になってよい相手か(事業内容・資金の妥当性・将来性)

もう一段うしろに、日本政策金融公庫がいます。協会が代位弁済(事業者に代わって金融機関へ立替払いをすること)をした場合、公庫は保険契約に基づいて代位弁済した元本額の70%または80%を保険金として協会に支払います。この信用保証制度と信用保険制度をあわせて「信用補完制度」と呼びます。中小企業の借入が、幾重にも公的に支えられている構造です。

なお、金融機関を通さない直接融資の代表格である日本政策金融公庫の審査は、また別の枠組みです。そちらは「元銀行員が教える日本政策金融公庫の審査」で解説しています。保証協会を介さない銀行の直接融資(プロパー融資)との違いは「プロパー融資とは」にまとめました。

審査に入る前に、そもそも対象外になっていないか?

「落ちる理由」を考えるとき、多くの解説記事は財務内容や事業計画の話から始めます。ただ実務では、その手前で止まっている事案がかなりあります。保証の対象者になっていない、あるいは対象外の条件に当たっているという類型です。ここは公表されているので、自分で先に確認できます。

対象になる事業者の要件

山梨県信用保証協会の場合、対象は「山梨県内に住所または事業所のいずれかがある個人」もしくは「山梨県内に本店または事業所を有する法人」です。県外に本店があっても、県内に事業所があれば対象になり得ます。

規模の要件は、資本金か従業員数のいずれか一方を満たせば足ります。両方を満たす必要はありません。

業種資本金従業員数
製造業等(建設・不動産・運送・倉庫・印刷・出版・ガス供給・保険媒介代理・土石採取・木材伐採・鉱業を含む)3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業・飲食業5,000万円以下50人以下
ソフトウエア業・情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
宿泊業(旅館業を除く)・娯楽業5,000万円以下100人以下

従業員数の数え方には決まりがあります。家族従業員・臨時の使用人・会社役員は従業員に含みません。一方でパートやアルバイトは、臨時雇いであっても事業の経営上不可欠な人員であれば含まれます。ここを勘違いして「うちは人数が多いから無理」と思い込んでいる小売業の社長さんに、実際にお会いしたことがあります。

業種と資金使途による除外

商工業・サービス業のほとんどが対象ですが、農林水産業、金融業、性風俗関連営業、宗教・政治経済、文化団体等の業種は対象外です。兼業で対象業種と対象外業種の両方を営んでいる場合など、判断に迷うときは申し込む前に協会へ確認してください。

資金使途も限定されます。事業経営に関係のない生活資金・住宅資金・教育資金・投機資金には使えません。協会は具体例まで挙げています。自宅の改築資金、子どもの学費、社長のマイカー購入資金、投機目的の株式や土地の購入資金。運転資金の名目で申し込んで、内訳を聞かれて答えられない場合、この線引きに触れる懸念を持たれます。

要件を満たしていても利用できない6つのケース

そして、規模も業種も資金使途も問題ない事業者でも、次に当たると保証を受けられません。山梨県信用保証協会が明記している6項目です。

利用できない場合実務での注意点
①反社会的勢力である—
②銀行取引停止処分を受けている(法人の代表者の場合も含む)代表者個人の処分も対象になる
③会社更生法・民事再生手続・破産等の法的手続き中、または私的整理手続中である—
④保証付融資または金融機関独自融資において、延滞等の債務不履行がある返済の遅れは、他行のものも含めて見られる前提で考える
⑤代位弁済を受け、求償権債務が残っている過去に協会が立て替えた分が残っていると、新規の保証は原則できない
⑥前回保証が設備資金で、その設備が履行されていない、または履行の見込みがない設備資金を借りたら、その設備を計画どおり導入する

さらに協会は、粉飾決算や融通手形操作を行っている場合、税金を滞納し完納の見通しが見込めない場合なども不適格と判断すると書いています。この最後の一つは、私が現場でいちばん多く見る詰まりどころです。納税証明書は申込書類に含まれているので、滞納は必ず見えます。滞納があるなら、隠すのではなく、分割納付の誓約を取り付けて「完納の見通し」を示す形にしてから申し込む。順番はそこです。

申込書を保証協会に出すのは、あなたではなく金融機関である

ここが、冒頭に書いた「協会まで書類が届いていない」の正体です。

全国信用保証協会連合会は、金融機関経由で申し込む場合の流れをこう説明しています。「金融機関の窓口で融資を申し込まれる際に、信用保証の申込手続を行います。金融機関が融資適当と判断した場合、必要書類を金融機関経由で信用保証協会に提出していただきます」。

読み飛ばしそうな一文ですが、実務上は重い意味を持ちます。金融機関が「融資適当」と判断しなければ、書類は協会に回りません。協会の審査に到達する前に、銀行の中で止まるルートが存在するということです。山梨県信用保証協会の申込書類一覧を見ると、「信用保証依頼書」の記入者欄には「記入は金融機関が行います」と書かれています。依頼するのは銀行なのです。

もちろん、協会が保証を承諾しなかったケースも当然あります。ただ、経営者の方が「協会がダメだと言った」と説明を受けたとき、それが銀行の判断だったのか協会の判断だったのかは、聞き方を変えないと分かりません。私は相談の場でよく、こうお伝えしています。「保証協会に書類は回りましたか、と一度確認してみてください」と。

もう一つ、金融機関経由だけが入口ではありません。全国信用保証協会連合会も山梨県信用保証協会も、協会への直接申込、商工団体(商工会議所・商工会)や自治体経由の申込があることを明記しています。制度の選び方に納得がいかないとき、協会に直接相談する道は開かれています。私が支援したある小売業の事例では、金融機関の担当者から提案された制度より、県の制度融資のほうが金利も保証料も有利でした。担当者に悪意があったわけではなく、手続きが煩雑な制度を避けたというだけの話です。提案された制度が一つだけだったときは、他に選択肢がないかを聞き返して損はありません。

どこに相談するかで迷っている段階なら、「融資の相談はどこにする?相談先6つの違いと順番」もあわせてご覧ください。

審査の答えは「通る/落ちる」だけではない──評価は保証料率9区分に表れる

ここからが、多くの解説記事が触れていないところです。保証協会の審査結果は、諾否だけでなく保証料率にも表れます。そして料率は公表されています。つまり、自社がどう評価されたかを、承諾後に数字で読み取ることができます。

山梨県信用保証協会は「経営状況に応じて9段階に区分された料率体系を適用しており、料率区分は財務諸表の情報をCRDにより評価して決定されます」と説明しています。CRDは中小企業信用リスク情報データベース(Credit Risk Database)の略で、経済産業省の発案で創設された、中小企業の財務データを蓄積した国内最大級のデータベースです。

実際の料率表は次のとおりです(年率%、2026年8月時点の山梨県信用保証協会の公表値)。

区分①②③④⑤⑥⑦⑧⑨
責任共有 対象制度1.901.751.551.351.151.000.800.600.45
責任共有 対象外制度2.202.001.801.601.351.100.900.700.50

区分①が最も料率が高く、⑨が最も低い。財務内容がよいほど⑨に近づきます。決算書がない方(貸借対照表・損益計算書を作成する義務がない個人、事業開始後最初の決算を迎えていない法人)は、一律で区分⑤が適用されます。創業時に極端に不利な料率にならないよう設計されているわけです。

ただし例外があります。特別小口保証、セーフティネット保証、創業保証など政策的に推進している保証制度は、9区分の料率体系によらず一定の料率が適用されます。制度を選ぶ段階で料率が決まってしまうということです。

保証料はいくらになるのか、実際に計算してみる

料率が分かっても、実額のイメージがないと判断できません。計算式も公表されています。

均等分割返済の場合、信用保証料=貸付金額×保証料率×保証期間(日)÷365×分割係数。分割係数は返済回数によって変わり、7〜12回は0.65、13〜24回は0.60、25回以上は0.55です(均等分割返済の場合)。

たとえば1,000万円を5年(60回の均等分割)で借りるとします。区分⑤・責任共有対象制度の料率1.15%を当てはめると、こうなります。

項目数値
貸付金額10,000,000円
保証料率1.15%
保証期間5年=1,825日
分割係数(25回以上・均等分割)0.55
信用保証料10,000,000×1.15%×1,825÷365×0.55=316,250円

同じ条件で区分が⑧(0.60%)なら165,000円、区分②(1.75%)なら481,250円です。区分が三つ動くと、同じ借入でも保証料は16万円台から48万円台まで開きます。決算書を整えることが、そのまま調達コストに跳ね返るということです。

支払い時期についても、誤解が多いところなので触れておきます。保証料は融資実行時に金融機関経由で支払います。保証期間が2年(当座貸越根保証は1年)を超える場合は分割払いも選べますが、希望する場合は申込時に申し出る必要があります。後からでは変えられません。

そして、協会が受け取るのは保証料だけです。山梨県信用保証協会は「この信用保証料以外、どのような名目(手数料、相談料、調査料、登録料、用紙代など)でも、一切いただくことはございません」と明記しています。あわせて「金融斡旋業の第三者が介在・介入する保証申込は、一切お断りしております」とも。保証を通す見返りに手数料を求めてくる第三者がいたら、そこで話を止めてください。


自社がいまどの区分あたりにいるのか、決算書を見ながら整理したい――そういうご相談は、当社の融資・資金調達の支援サービスで承っています。初回のご相談は無料です。


その保証、銀行は20%を背負っているか?──責任共有制度で変わること

料率表に「責任共有 対象制度」と「対象外制度」の2行があったのを覚えていらっしゃるでしょうか。この違いは、料率の差以上に大きな意味を持ちます。

責任共有制度とは、かつて原則100%だった保証付融資について、一部の保証を除いて金融機関が一定のリスクを負担する仕組みに改めたものです。負担の方式は二つあり、どちらでも金融機関の負担割合は同じです。

方式仕組み
部分保証方式金融機関は80%の保証部分について協会から代位弁済を受け、残りの20%は金融機関の負担となる
負担金方式金融機関は残高の全額について代位弁済を受けるが、事後的に20%相当の負担金を支払う

事業者から見た保証料や融資金額への影響はありません。では何が変わるのか。銀行が自分の腹を痛めるかどうかが変わります。

そして、責任共有制度の対象から除外される保証制度があります。山梨県信用保証協会が挙げているのは、経営安定関連保険(セーフティネット)1号〜4号・6号に係る保証、災害関係保険に係る保証、創業関連保険・創業等関連保険に係る保証、特別小口保険に係る保証、事業再生保険に係る保証、小口零細企業保証制度、求償権消滅保証、破綻金融機関等関連特別保証、危機関連保証です。

ここに、私が現場で繰り返し見てきた景色があります。借入の大半が責任共有対象外の保証付融資で占められている会社は、メインバンクが経営改善に本気で動いてくれないことがあります。貸し倒れが起きても銀行の損失が出ない構造だからです。返済条件の見直しを相談しても反応が鈍い、新規の提案も出てこない。ある製造業の社長さんは「うちの銀行はやる気がない」と憤っておられましたが、話を聞いていくと、担当者の怠慢というより制度の構造の問題でした。

この構造を知っていると、打ち手が変わります。銀行が動かないなら、保証協会の担当者と直接話すルートを持つ。あるいは、プロパー融資を少額でも混ぜて銀行に当事者になってもらう。協調融資を提案されたときも、なぜプロパーが混ざっているのかを聞けば、協会が全額は保証できない事情が見えてくることがあります。

自社の借入がどちらなのかは、保証料率から逆算できます。適用された料率が上の行(1.90〜0.45)にあれば責任共有の対象、下の行(2.20〜0.50)にあれば対象外です。保証書や返済予定表を確認してみてください。銀行の融資姿勢そのものについては「債務者区分とは」でも別の角度から扱っています。

信用保証協会の審査期間は、どのくらいかかるのか?

よく聞かれる質問ですが、先に正直なところをお伝えします。信用保証協会は、審査の標準日数を公表していません。「◯週間で下ります」と書いてある記事は、書き手の経験則か、伝聞です。私も自分の経験から数字を出すことはできますが、地域・制度・時期で振れ幅が大きく、目安として一人歩きすると害のほうが大きいと考えています。

代わりに、期間が何で決まるのかを示します。公表資料から確実に言えるのは次の三点です。

  • 金融機関の判断が先に立つ。金融機関が「融資適当」と判断してはじめて、書類が協会に回ります。銀行内での検討期間は、協会の審査期間には含まれません。
  • 訪問や面談が入る場合がある。全国信用保証協会連合会は「審査過程において、訪問や面談を行う場合があります」と明記しています。山梨県信用保証協会も「場合によっては、事業所を訪問させていただく場合もございます」としています。日程調整が必要になれば、その分は伸びます。
  • 書類が揃うまで審査は始まらない。登記簿謄本、印鑑証明書、決算書2期分、納税証明書、許認可証。一つ欠けても止まります。

だから、期間を短くする現実的な方法は一つです。書類を先に揃えておくこと。支払いの期日から逆算するなら、余裕を持って動き始めることです。「来月の支払いに間に合わせたい」という段階でご相談をいただくことがありますが、そこから登記簿謄本を取りに行くのでは、間に合うかどうかが運任せになります。

審査を通すために、申込前に自分で整えられること

審査基準そのものは公表されていません。ですが、提出書類は公表されています。書類は審査の材料そのものですから、ここを整えることが最も確実な準備になります。山梨県信用保証協会が挙げている書類をもとに、確認の順に並べ替えました。

整えるもの何を見られるか先に手を打てること
納税証明書(法人税または事業税/個人は所得税または事業税)税金の滞納の有無滞納があるなら、分割納付の誓約を取り付けて完納の見通しを示す。申込前に済ませる
確定申告書・決算書2期分(別表および勘定科目内訳明細のあるもの)財務内容。保証料率の9区分もここで決まる内訳明細の空欄をなくす。代表者への貸付金・仮払金は、内容を説明できるようにしておく
残高試算表決算後の足元の業績決算期から6か月以上経過している場合は原則必要。月次の試算表を止めない
許認可証(写)有効な許認可・届出があるか保証を利用する時点で有効であること。更新漏れを確認する
商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)・印鑑証明書法人の実在と代表者印鑑証明書は初回申込時、直近3か月以内のものが必要
設備資金なら見積書・設備計画書/創業資金なら創業計画書資金使途の妥当性金額の根拠を分解して書く(後述)

資金使途は、金額を分解して書く

協会が見る観点の一つは「資金の妥当性」です。ここでよくあるのが、運転資金1,000万円とだけ書いた申込です。私はご相談の場で、いつも同じことをお願いします。その1,000万円の内訳を、数字で分けてみてくださいと。

たとえば「仕入資金600万円(月商800万円の仕入比率45%×2か月分の在庫積み増し)、人件費300万円(新規採用2名×月30万円×5か月分)、諸経費100万円」。こう書けるかどうかで、伝わり方が変わります。逆に分解できないなら、本当にその金額が要るのかを自分で疑ってみる機会にもなります。

売上の見込みには、書面の裏付けを添える

将来性を説明する場面では、口頭の見込みより書面が圧倒的に強い。これは審査する側にいた実感です。取引先との契約書、発注書、意向表明書。とくに実績の浅い時期は、将来の売上を裏づける唯一の手段がこうした文書になります。ある創業間もない事業者の方は、独立前の取引先から引き継ぐ予定の受注について、契約書を1通用意しただけで説明の説得力が大きく変わりました。

「人脈があります」「紹介が多いです」といった強みも、そのままでは審査の材料になりません。経営者ネットワーク420名のように数字にした瞬間、受け取られ方が変わります。紹介経由の売上があるなら、全売上に占める比率を出す。SNSを強みにしたいなら、フォロワー数と問い合わせへの転換率を出す。数字にできない強みは、審査の場では強みとして扱われないと考えておくのが安全です。

計画書そのものの書き方は「経営改善計画書の書き方」や「創業計画書の書き方と記入例」にまとめてあります。

経営者保証を外したいなら、審査の前に決算書のここを直す

保証協会の保証を使う場合でも、経営者保証(社長個人の連帯保証)を外せる道があります。山梨県信用保証協会は、保証付融資の90%以上が無担保であり、法人の代表者以外の連帯保証人は原則として徴求しない、個人事業主の場合は連帯保証人が原則不要だと公表しています。

そのうえで、代表者の保証まで外す選択肢として「事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度」があります。保証料率を上乗せする代わりに経営者保証を不要とする制度で、要件は次のとおりです。

要件(法人が対象)
(1)過去2年間、決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出していること
(2)直前決算において、代表者等への貸付金その他の金銭債権がなく、かつ代表者への役員報酬・賞与・配当その他の金銭の支払が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと
(3)①直前決算において債務超過でない(純資産の額≧0)、または②直前2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でない(経常利益+減価償却≧0)のいずれかを満たすこと
(4)保証申込後も決算書等を提出し、代表者への貸付金等がなく役員報酬等が適切な範囲を超えないことを継続的に充足する旨の誓約書を提出していること
(5)保証料率の引上げを条件として保証人の保証を提供しないことを希望していること

上乗せされる料率は、(3)の①②をいずれも満たす場合が0.25%、いずれか一方のみを満たす場合または設立後2事業年度の決算がない場合が0.45%です。これに対して国が保証料の一部を補助しており、補助率は保証申込日に応じて段階的に下がります。令和8年4月1日から令和9年3月31日までの申込は0.05%(令和6年3月15日〜令和7年3月31日は0.15%、令和7年4月1日〜令和8年3月31日は0.10%)。取扱期間は令和9年3月31日の保証申込受付分までです。使うつもりがあるなら、期限が決まっている制度だと意識しておいてください。

実務で効いてくるのは(2)です。代表者への貸付金があると、この制度は使えません。役員貸付金は、決算書の資産に計上されていても回収の見込みが立ちにくく、金融機関からも保証協会からも実質的な資産とは見なされにくい項目です。一朝一夕には消えませんから、経営者保証を外すことを視野に入れているなら、決算を1期でも早く整理し始めるほかありません。経営者保証をめぐる全体像は「経営者保証を外すには」で詳しく扱っています。

山梨県で申し込むとき、どこへ行けばよいか

最後に、山梨県内で実際に動くときの入口を整理します。

山梨県信用保証協会は「金融機関を通じて申込いただくのが一般的です」としたうえで、商工会議所・商工会などの商工団体や自治体に直接申し込む方法もあると案内しています。取扱可能な金融機関は協会のサイトで公表されており、山梨中央銀行、八十二銀行、静岡銀行などの銀行、甲府信用金庫・山梨信用金庫などの信用金庫、山梨県民信用組合・都留信用組合、商工組合中央金庫、県内のJA各組織などが並びます。県制度融資を取り扱えるかどうかは金融機関ごとに異なるため、県の制度融資を使いたい場合は事前に確認してください。

県や市町村の制度融資を組み合わせると、据置期間の設定、固定の低利率、利子補給(利息の一部を県や市町村が負担)、信用保証料の補助といった条件が付くことがあります。同じ借入でも総コストが変わりますから、金融機関から提示された制度が一つだけだったときは、他に使える制度がないかを聞いてみる価値があります。

協会の窓口は、本店が甲府市飯田(山梨県中小企業会館内)、本店分室が甲府市富士見、富士吉田支店が富士吉田市下吉田にあります。受付は平日9時から17時(土日・祝日を除く)。詳細は山梨県信用保証協会の公式サイトでご確認ください。県内の補助金や制度をまとめて見たい方は「山梨県の中小企業が使える補助金一覧」もあわせてどうぞ。

信用保証協会の審査についてよくある質問

代位弁済されたら、借金はなくなるのですか?

なくなりません。代位弁済は、信用保証協会が事業者に代わって金融機関へ立替払いをすることです。立て替えた分は求償権として残り、以後は信用保証協会に返済していくことになります。山梨県信用保証協会は、返済金額等については実情を踏まえて相談のうえ決めると案内しています。返済先が銀行から協会に変わるだけで、債務そのものは消えません。

信用保証協会から直接お金を借りることはできますか?

できません。信用保証協会は融資機関ではなく、公的な保証人になる機関です。お金を出すのは金融機関で、協会はその借入に保証を付ける役割を担います。「協会でいくらまで借りられるか」ではなく「協会の保証を付けて金融機関からいくらまで借りられるか」という問いになります。

保証にはいくらまでの限度額がありますか?

山梨県信用保証協会の場合、中小企業・小規模事業者1企業に対する保証の限度額は2億8,000万円(組合の場合は4億8,000万円)です。ただしこれは制度上の上限であり、実際に承諾される金額は事業規模や返済能力に応じて決まります。無担保での利用が中心で、協会は保証付融資の90%以上が無担保だとしています。

審査で個人の信用情報(クレジットカードの延滞歴など)は見られますか?

協会が個人信用情報機関に照会しているかどうかは公表されていないため、断定はできません。ただし申込書類には「個人情報の取扱いに関する同意書」が含まれ、保証申込の関係者(本人・連帯保証人・担保提供者)全員の提出が求められます。また利用できない場合として「保証付融資または金融機関独自融資において、延滞等の債務不履行がある」ことが明記されています。返済の履歴は見られる前提で臨むのが安全です。

保証を断られた場合、理由を教えてもらえますか?

個別の否決理由が書面で示される仕組みにはなっていません。ただ、金融機関の担当者に「協会に書類は回りましたか」「どの点が論点になりましたか」と具体的に尋ねると、状況が見えてくることがあります。銀行段階で止まっていたのか、協会の判断だったのかで、次に打つ手はまったく変わります。


保証協会の審査は、当日の出来映えで決まるものではありません。納税の状態、決算書の中身、資金使途の説明。どれも申し込む前に手を入れられるものばかりです。当社は保証依頼の書類を作って協会に送っていた元銀行員として、いま何が足りないのかを決算書から洗い出し、どの制度で申し込むかまで一緒に決めています。まずは融資・資金調達の支援サービスをご覧いただき、無料相談はこちら(お問い合わせフォーム)からお気軽にご連絡ください。


監修:池田哲郎。八十二銀行で法人融資の審査・経営改善支援に従事し、事業計画や決算を「審査する側」として100件超を見てきた経験を持つ。現在は中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、山梨県で融資・補助金・経営計画の支援を行う。本記事の制度情報は、一般社団法人 全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」、山梨県信用保証協会「ご利用いただけるお客さま」「お申込の方法」「信用保証のしくみ」「信用保証料について」「金融機関との連携した資金繰り支援(責任共有制度)」「信用保証協会を利用する6つのメリット」の公表内容(2026年8月28日確認)に基づきます。保証料率の体系・区分・取扱いは信用保証協会ごとに異なり、また改定されることがあります。山梨県外の方はお住まいの地域の信用保証協会の公表値を、実際の申込にあたっては金融機関または信用保証協会の窓口をご確認ください。

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