補助金

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは|3つの枠・要件と申請の流れ【2026年】

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池田計画合同会社

公開日:2026年7月2日 最終更新:2026年9月29日 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)

「ものづくり補助金と新事業進出補助金が一つになったと聞いたが、いったい何が変わったのか」——2026年に入ってから、設備投資や新事業を考える山梨県内の経営者から、こうしたご相談が急に増えました。名前は長くて覚えづらいのですが、制度の中身はこれまでの2つの補助金を引き継いだ、なじみのあるものです。

結論から言えば、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、従来の「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」を一本化する形で設けられ、2026年(令和8年)に第1回公募が始まった国の新しい補助金です。革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠の3つの枠があり、補助上限は最大7,000万円(特例で9,000万円)、補助率は1/2〜2/3。第1回公募は令和8年6月29日に始まり、申請受付の開始は9月30日(水)、申請締切は10月30日(金)18:00です。検索すると「申請受付期間8月31日〜9月30日」という日程が出てくることがありますが、これは2026年7月17日の変更前の古い日程です(本記事は2026年9月29日時点・第1回公募の公募要領1.3版(2026年9月28日更新)および応募申請ガイド(2026年8月24日公開)に基づきます)。

はじめにお断りしておくと、私は元銀行員として長く法人融資の審査に携わってきました。融資の審査と補助金の審査は別物です。融資は「貸したお金が返るか」を、補助金は「その事業に政策的な意義と実現性があるか」を見ます。ただ、どちらにも共通して効くのは「計画の数字に根拠があるか」を厳しく問う目です。この制度は要件に「返還」という約束が何本も組み込まれていて、借入と同じく約束の重みがあります。そこを正面から解説していきます。


ものづくり補助金と新事業進出補助金は何が統合されたのか

この補助金は、これまで別々に公募されてきた2つの制度を一本化したものです。設備投資で革新的な製品・サービスを開発する「ものづくり補助金」の系譜と、新市場・新事業への進出を支援する「新事業進出補助金」の系譜が、3つの枠として同じ制度の中に整理されました。実施するのは独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)で、事務局業務は中小機構から委託を受けた全国中小企業団体中央会を主幹事とするコンソーシアムが運営しています。ただし事務局サイトは、旧「中小企業新事業進出補助金」「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金だと注記しています。系譜は同じでも要件や様式は別物なので、旧制度の公募要領の感覚で読まないでください。

統合で実務上いちばん大きいのは、「1回の公募につき1申請」に一本化された点です。この補助金の中で、3つの枠に1件ずつ出すといったことはできないので、自社の事業がどの枠に最も合うのかを申請前に見極める必要があります。なお、別の補助金に同じ時期に応募すること自体は可能だと公募要領にあります。ただし複数に採択されたら交付を受ける補助金を1つだけ選ぶ必要があり、選ばずに両方から受け取ると、後から交付決定を受けた方が取り消されて返還になります。

項目統合後の新制度(第1回)
正式名称新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
枠革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠
申請回数1公募につき1申請(みなし同一事業者も同じ)
申請方法電子申請のみ・GビズIDプライム必須・代理申請は不可
審査書面審査(7観点)+口頭審査(必要に応じて・本人対応)

なお、旧「ものづくり補助金」の山梨での使い方はものづくり補助金 山梨|枠・補助率と審査で落ちない申請にまとめてあります。旧制度の考え方も、新制度の申請設計にそのまま活きます。また、目的が「新製品の開発」ではなく「人手不足の解消(省力化)」であれば、この補助金より省力化投資補助金のほうが向いているケースもあります。両制度の使い分けは同記事で整理しています。

3つの枠と補助上限・補助率(従業員数別)

まず枠ごとの上限・補助率を押さえてください。かっこ内は賃上げ特例を適用した場合の引き上げ後の上限です。数字は第1回公募の公募要領1.3版(2026年9月28日更新)で確認したものです。

革新的新製品・サービス枠

革新的な新製品・新サービスの開発を支援する枠で、旧ものづくり補助金に最も近い、山梨の中小企業が最も使いやすい枠です。補助下限は100万円です。

従業員数補助上限(通常)賃上げ特例適用時
1〜5人750万円850万円
6〜20人1,000万円1,250万円
21〜50人1,500万円2,500万円
51人以上2,500万円3,500万円

補助率は中小企業者が1/2、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者は2/3です(地域別最低賃金引上げ特例を使う場合は中小企業者も2/3)。補助事業の実施期間は交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内)です。

2/3の前提で資金計画を組む方に、1.3版で補記された点を2つ。まず、採択後から補助事業の完了までの間に従業員が増えて小規模企業者・小規模事業者の定義から外れると、補助率は1/2になり、それに伴って補助金額も減額されると明記されました(従業員20人以下で小規模とみなされるNPO法人・農事組合法人が21人以上になった場合も同じです)。採用計画がある会社は、どの時点で何人になるかを先に確かめてください。もう一つ、再生事業者であることを証明する書類(中小企業活性化協議会等が発行する確認書等)の提出対象が、1.2版の「再生事業者加点を希望する事業者のみ」から「再生事業者として申請する事業者のみ」に書き換わりました。再生事業者として2/3の補助率を使う場合も、この書類が前提になると読むのが安全です。

新事業進出枠

これまで製造・提供したことのない製品・サービスで、既存事業と異なる顧客層の新市場に進出する取組を支援します。補助下限は750万円と高めで、まとまった投資が前提の枠です。

従業員数補助上限(通常)賃上げ特例適用時
1〜20人2,500万円3,000万円
21〜50人4,000万円5,000万円
51〜100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,000万円

補助率は中小企業者が1/2(特例で2/3)。実施期間は交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)です。この枠だけの注意点として、新規設立・創業後1年に満たない事業者は申請できません。

グローバル枠

海外市場開拓(輸出)に向けて、国内の輸出体制を強化する取組が対象です。上限額・下限額・実施期間は新事業進出枠と同じですが、補助率が中小企業者でも一律2/3と手厚く、海外旅費・通訳翻訳費まで補助対象になるのが特徴です。

注意したいのは、旧ものづくり補助金のグローバル枠とは別物だということです。旧制度のグローバル枠は海外直接投資・輸出・インバウンド対応・海外企業との共同事業の4類型で上限3,000万円(補助率は中小1/2)でしたが、統合後は「輸出に向けた国内の輸出体制強化」に一本化され、上限は最大7,000万円(賃上げ特例で9,000万円)・補助率2/3に変わりました。海外拠点への直接投資やインバウンド対応そのものは対象から外れているので、旧制度の感覚のまま計画を組むと入口で躓きます。輸出向けの製造ライン増強や検査体制の整備など、国内側の投資として組み立てるのが統合後の型です。

誰が申請できるのか(個人事業主・対象にならない人)

この補助金は、法人だけでなく個人事業主も申請できます。中心になる対象は「中小企業者」で、資本金または常勤従業員数が業種ごとの基準以下であることが条件です(たとえば製造業・建設業・運輸業なら資本金3億円以下または常勤従業員300人以下)。企業組合・協業組合・事業協同組合など公募要領に列挙された組合も対象で、一定の条件を満たす特定非営利活動法人(NPO法人)と農事組合法人も対象に含まれます。一方、列挙に該当しない組合・連合会、公益/一般の財団法人・社団法人、医療法人、法人格のない任意団体は対象外です。このほか、中小企業者の規模は超えるものの資本金10億円未満で従業員が業種別の基準以下の会社など(公募要領の「特定事業者の一部」)や、リースで設備を入れる場合に共同申請するリース会社も、公募要領の対象者に含まれています。

ここで実務上つまずきやすいのが、「従業員数」の数え方が2種類あることです。ひとつは対象判定と補助上限の区分に使う常勤従業員数(中小企業基本法上の「常時使用する従業員」)、もうひとつは要件②の一人当たり給与支給総額を計算するときの従業員数で、こちらは役員や一部の雇用形態の扱いが異なります。速報系の記事はここを一緒くたにしがちですが、上限額の区分を誤ると計画全体が崩れるので、最初に正確に数えてください。

また、次に該当する事業者は申請できません(主なもの)。

  • 応募申請時点で従業員数が0名の事業者(役員だけの会社や、従業員を雇っていない個人事業主)
  • 本補助金の申請締切日から遡って16か月以内に「事業再構築補助金」「新事業進出補助金」「ものづくり補助金」「新事業進出・ものづくり補助金」で採択された事業者(辞退した場合を除く)、または締切日時点でこれらの補助事業を実施中の事業者
  • 応募申請日から遡って過去3年間に「事業再構築補助金」「新事業進出補助金」「ものづくり補助金」の交付決定を合計で2回以上受けた事業者
  • (新事業進出枠のみ)新規設立・創業後1年に満たない事業者
  • 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者
  • 大企業の子会社などに当たる「みなし大企業」

1つ目は見落とされがちです。この制度は賃上げを目的の一つにしているため、社長お一人で従業員がいない会社は対象になりません。2つ目の「16か月以内の採択」は、旧ものづくり補助金や新事業進出補助金で最近採択された会社が、続けて申請できるかどうかの分かれ目になります。今回の締切は10月30日なので、旧ものづくり補助金でいえば19次〜23次(採択発表は2025年7月〜2026年8月)で採択された会社は、辞退していない限り今回の第1回には申請できません。

課税所得の要件についても補足しておきます。「赤字だと補助金は申請できないのでは」と心配される方が多いのですが、この制度に赤字を理由とする除外規定はありません。除外されるのは逆に、課税所得の年平均が15億円を超えるほど利益が出ている会社のほうです。ここは融資審査の感覚とは違うところで、私も最初は意外に感じました。銀行融資なら赤字はそのまま返済力の問題として効いてきますが、補助金は「その事業に政策的な意義と実現性があるか」を見るので、直近の赤字それ自体が門前払いの理由にはならない。ただし、次の章で説明する返還要件のとおり、計画期間に付加価値額と給与を伸ばす約束はしなければならないので、赤字の原因を放置したままでは計画が書けません。そこは別の話として向き合う必要があります。

6つの基本要件と「返還」という約束の重み

この制度でいちばん誤解されやすいのが要件です。単に申請の入口条件ではなく、採択後・補助事業終了後まで守り続ける約束で、未達だと補助金の返還を求められます。私は融資審査の現場で「返済の約束を軽く見た計画」を数多く見送ってきましたが、補助金の返還要件も同じで、絵に描いた数字で約束してはいけません。基本要件は次の6つです。

  1. 付加価値額の年平均成長率(CAGR)4.0%以上:補助事業終了後3〜5年の計画期間で。付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費。
  2. 従業員の一人当たり給与支給総額のCAGR3.5%以上:3.5%以上で自社の目標値を決め、交付申請時までに全従業員(または従業員代表者)に表明することが必須。表明していないと、たとえ達成しても交付決定が取り消され全額返還になります。比較の起点(基準年度)は、補助事業の終了時点を含む事業年度です。
  3. 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上:計画期間中、毎年この水準を維持。
  4. 一般事業主行動計画の公表:次世代育成支援対策推進法に基づき「両立支援のひろば」に公表。掲載に1〜2週間かかります。
  5. 子育て等に関する職場環境整備の取組:くるみん・プラチナくるみん・トライくるみん認定があればこの取組は免除。
  6. 金融機関の確認書:補助事業で金融機関等から資金提供を受ける場合に必要。

返還の計算式まで踏み込んでおきます。要件②は、3.5%ではなく自社で設定した目標値に届かなかった時点で返還の対象になります。返還額=補助金交付額×(1−最終年度の実績CAGR÷目標値)で、一人当たり給与支給総額のCAGRがゼロ以下なら全額返還です。要件③は、毎年の報告で基準を下回った年ごとに、交付額を計画年数で割った額を返還します。どちらも、付加価値額が増えておらず営業利益が赤字の場合(要件②は計画期間の過半数、要件③はその年度)や、天災など事業者の責めによらない理由がある場合は返還を求めない、という例外があります。「達成できなければいくら返すのか」まで含めて、実現できる数字で約束してください。

上限や補助率を上げる2つの特例

要件を上乗せすると、上限額や補助率が引き上がる特例が2つあります。

  • 賃上げ特例:一人当たり給与支給総額のCAGRを基準より+2.5%(合計6.0%)以上、かつ事業場内最低賃金を+50円(基準+30円にさらに+20円)以上とすると、各枠の上限が引き上がります(前掲表のかっこ内)。ただし2つの要件のどちらか一方でも未達なら、引き上げ分の補助金は全額返還です。さらに1.3版で、賃上げ特例の一人当たり給与支給総額の目標(6.0%以上)が未達なら基本要件の賃上げ要件も未達として扱い、引き上げ分の全額に加えて、基本部分の補助金も未達成率に応じて返還を求めると補記されました。「特例がだめでも引き上げ分を返せば済む」わけではありません。
  • 地域別最低賃金引上げ特例:2024年10月〜2025年9月に「地域別最低賃金以上〜2025年度改定の最低賃金未満」で雇用していた従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合に、補助率が1/2から2/3に上がります。この特例を使うと、基本要件から「事業場内最賃水準要件」が外れます。

ここで見落とされやすいのが、2つとも「誰でも使える」わけではないことです。公募要領は適用除外を細かく置いています。

  • 賃上げ特例は、各申請枠の補助上限額に達しない場合は適用できません。上限が上がっても、そこまで投資しないなら意味がないという設計です
  • 革新的新製品・サービス枠で地域別最低賃金引上げ特例を申請する事業者は、賃上げ特例を併用できません。2つを重ねて上限も補助率も、とはいきません
  • 革新的新製品・サービス枠とグローバル枠で申請する再生事業者は、賃上げ特例を適用できません
  • 地域別最低賃金引上げ特例のほうは、もともと補助率が2/3の事業者は使えません(革新的新製品・サービス枠で申請する小規模企業者・小規模事業者と再生事業者、グローバル枠で申請する事業者)。すでに2/3なので上げようがない、ということです

この表を先に見ておかないと、「うちは小規模だから2/3、さらに地域別最低賃金の特例でもっと」という計算をしてしまいます。実際にはそこは重ならない。

ここは元銀行員として一つ実務のコツを。ある製造業の社長さんの案件で、2/3が取れる前提で資金繰りを組んでしまい、あとで「該当しませんでした」となって数百万円の自己負担が急に増えかけたことがありました。教訓は、提案を始める前に、過去の賃金台帳で補助率2/3の条件に当てはまるかを先に確定させること。皮肉なことに、きちんと賃上げしてきた会社ほど正社員の時給が高く、この特例には当てはまりにくい。該当しないなら最初から1/2前提で無理のない計画を組むほうが、後で慌てずに済みます。

対象になる経費・ならない経費

補助対象経費は枠によって少し違います。共通するのは機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。新事業進出枠とグローバル枠では、これに「建物費」が加わります。グローバル枠はさらに海外旅費・通訳翻訳費まで対象です。そのうえで、革新的新製品・サービス枠は機械装置・システム構築費、新事業進出枠とグローバル枠は機械装置・システム構築費か建物費のどちらかを、必ず経費に含める決まりがあります。広告費や外注費だけの計画は、そもそも対象になりません。

経費革新枠新事業進出枠グローバル枠
機械装置・システム構築費○○○
建物費×○○
広告宣伝・販売促進費○○○
海外旅費・通訳翻訳費××○

注意したいのは、取得した設備は「専ら補助事業に使用」する必要があり、既存事業で使うと目的外使用とみなされ、残存簿価相当額などの納付を求められる点です。設備投資の相談でいつもお伝えするのは、「作れるか」ではなく「売れるか(販売の目処)」を投資着手の条件にすること。需要の裏づけがないまま能力だけ持つと、稼働率が上がらず資金を寝かせます。補助金があるからと過剰投資に走らないことが、結局いちばんの資金繰り対策です。

審査は書面7観点+口頭審査──同席は一切できない

審査は2段階です。まず書面審査で、(1)補助対象事業としての適格性 (2)経営戦略との整合性 (3)事業の実現可能性 (4)新規事業の新市場性・高付加価値性(新事業進出枠のみ)(5)公的補助の必要性 (6)政策面 (7)大規模な賃上げ計画の妥当性(賃上げ特例希望者のみ)の7観点で評価されます。

補助金の相談では、私はいつも審査項目を画面で1つずつお見せしながら「配点は公表されていませんが、書いていない項目は点が入らないと考えてください。だから全部きちんと埋めないと落ちる確率が高いです」とお伝えしています。審査は各観点の積み上げなので、1項目でも空欄があると、そこで確実に点を落とすという感覚が大事です。

実現可能性の観点で見落とされやすいのが「足下の賃上げ」です。公募要領は、補助事業が終わるのを待たずに行う賃上げも評価するとしたうえで、応募申請時の直近の事業年度から基準年度までの一人当たり給与支給総額の伸びが物価上昇率を上回る程度に届かない場合は「審査上大幅に不利」になると書いています。この足下の賃上げは、採択後から交付決定までの間に従業員へ表明することが必須で、実績もモニタリングされます。計画期間の目標だけ高く書いて、今年と来年の昇給を据え置く計画は通りにくいということです。

書き方の面では、「リピーターが多い」「ニーズがある」といった主張は、必ず「何人」「何%」と概数でよいので数字の裏づけを添える。審査員は「本当なの?」という目で読むので、数字があるだけでリアリティが変わります。

統合後の新制度で特に注意してほしいのが口頭審査です。一定の審査基準を満たした事業者の中から必要に応じて行われ、オンライン(Zoom等)で1事業者あたり15分程度。対応できるのは申請事業者本人だけで、事業計画作成支援者・経営コンサルタント・社外顧問といった申請事業者以外の対応や同席は一切認められません。公募要領が本人として認めているのは、個人事業主本人、法人代表者、株式会社の取締役(社外取締役を除く)、そして応募時の労働者名簿に記載されている「担当者」または「経理担当者」(いずれも勤務実態がある人に限る)まで。社長一人で背負い込まなくてよいという意味では、ここは知っておく価値があります。当日は本人確認と周辺環境の確認があるので顔写真付きの身分証明書を用意し、開始5分前には入室して接続テストを受けてください。審査中の音声は録音されます。

口頭審査の対象になったのに受けなければ、それだけで不採択です(不採択になった場合に理由が開示されるのか、同じ事業で再申請できるのかは「補助金が不採択になったときの対応」で公募要領の原文を引いて整理しています)。しかも受験日時は先着順で、電子申請を早く完了した事業者から順に予約案内が届くので、締切間際の申請ほど選べる日時が限られます。つまり、申請の完了が早いほど日程を選べます。この一点だけでも、受付が始まる9月30日に合わせて入力を終えられる準備をしておく価値があります。

付け加えると、みんながChatGPTなどで申請書を書く時代になり、文章の平均レベルは上がっています。だからこそ差がつくのは自社固有の情報と具体的な数字です。AIで一発生成した文章をそのまま貼ると、アスタリスクの消し忘れや根拠のない統計で見抜かれます。AIは構成案や市場調査の壁打ちに使い、中身は自分の言葉で書き直してください。口頭審査で本人が自分の言葉で語れるかどうかも、まさにここが問われます。

加点は17項目に増えた──どれから取りに行くか

採点では加点・減点も効きます。加点は17項目です。8月14日に公開された公募要領1.2版で、⑬技術情報管理認証制度加点・⑭成長加速マッチングサービス加点・⑮アトツギ甲子園加点の3つが新たに追加されました。当初の14項目のまま説明している記事も残っているので、加点の一覧は必ず最新版で確認してください。9月28日の1.3版では項目数は17のまま変わっていません。

代表的なものは、パートナーシップ構築宣言(令和8年1月1日更新のひな形で公表していること)、くるみん、えるぼし、健康経営優良法人2026、経営革新計画、(連携)事業継続力強化計画、DX認定、J-Startup、研究開発費・試験研究費の計上など。いずれも申請締切日時点で満たしていることが条件です。研究開発費・試験研究費の加点は添付書類の条件が細かくなり(1.3版)、過去4年以内の税務申告で使った「別表六(十)」の写しを出す場合は欄外に確認した税理士の署名が必要になりました(試験研究費計上の確認フォーマットや、研究開発費が載った販売費及び一般管理費明細書で出す方法もあります)。顧問税理士には早めに声をかけておいてください。

ただ、17項目を眺めても「で、うちは何から手を付ければいいのか」は見えてきません。私が初回のご相談でお伝えしている順番は、次の3段階です。

優先度加点項目判断のしかた
1(まず取る)パートナーシップ構築宣言ほぼ確実に取れる。ただし加点は締切日時点でポータルに公表されていることが条件なので、掲載までの日数を見込み、私は締切の2週間前までの登録をお勧めしている
2(早めに着手)事業継続力強化計画・経営革新計画・DX認定認定・承認まで数週間から数か月かかる。DX認定はIPAの標準処理期間が60日(土日祝を除くため暦の上では約3か月)で、今回の締切には申請済みでないと間に合わない。「申請するかどうか決めてから」では遅い
3(試算してから決める)賃上げ関連の加点・賃上げ特例決算書の給与支給総額から必要な賃上げ額を先に計算し、達成できる水準か確かめてから申請する

1と2は、申請するかどうか迷っている段階でも先に動いてしまってかまいません。認定によっては結果が出るまで数か月かかるものがあり、迷っているうちに締切に間に合わなくなるからです。申請するしないにかかわらず、取っておいた方が採択はされやすくなります。少し面倒ですが、早めの着手が効きます。

逆に3は、決算書を見ないまま「加点だから取っておきましょう」と勧めてはいけない種類のものです。加点や特例で上限が上がる代わりに、未達なら返還がついてきます。私は初回の打ち合わせで直近の決算書をお預かりして、その場で給与支給総額から必要な賃上げ額を計算してお見せするようにしています。従業員が少なければ影響は小さく済みますが、人数が多い会社ほど負担は重くなる。数字を見てから判断すれば、あとで「そんなに上げないといけないとは思わなかった」とはなりません。

なお、新しく入った3つのうちアトツギ甲子園加点は、ピッチ大会に出場した事業者が対象で、締切日時点で出場済みでなければ加点になりません。技術情報管理認証制度・成長加速マッチングサービスは、該当しそうなら早めに動く価値があります。「増えた3項目」は、今回の第1回で無理に追いかけるより、第2回以降を見据えて仕込むものと考えたほうが現実的です。

一方、減点は5項目です。①申請した加点要件が未達だった場合(賃上げ加点を受けて採択されたのに未達だと、報告から18か月間は大幅減点)、②一時的流行で類似申請が集中する「過剰投資」と判断された場合、③過去の補助金(ものづくり・新事業進出・事業再構築)の事業化段階が3段階以下の場合、④申請締切日から遡って過去3年間に、ものづくり補助金・新事業進出補助金の交付決定を1回受けている場合、⑤過去に交付決定を受けたのに基本要件(賃上げ要件・事業場内最賃水準要件)を達成できなかった場合。④は「2回以上で対象外・1回で減点」という段階になっています。ただし数え方が少し違い、対象外の判定(2回以上)は応募申請日を起点に事業再構築補助金も含めて数え、減点(1回)は申請締切日を起点にものづくり補助金と新事業進出補助金だけで数えます。リピート申請を考えている方は、前に書いた「16か月以内の採択」とあわせて自社の採択・交付決定履歴を確認してください。

結局、申請はいつからいつまでなのか(第1回公募)

ここがいま最も混乱している論点です。第1回公募の日程は次のとおりです(2026年9月29日時点・事務局の公募スケジュールと公募要領1.3版で確認)。

時期内容
令和8年6月29日公募開始
令和8年9月30日申請受付開始(当初8月31日から変更)
令和8年10月30日(金)18:00申請締切(厳守。当初9月30日から延長)
令和9年1月頃(予定)補助金交付候補者の採択発表(当初12月頃から変更)

※2026年7月17日に事務局が第1回公募のスケジュール変更と公募要領の更新を発表し、受付開始・締切・採択発表がそれぞれ約1か月後ろ倒しになりました。

やっかいなのは、変更前の「申請受付期間8月31日〜9月30日」という日程が、ネット上に残っていることがあることです。私が8月末に確認した時点では、中小企業庁が運営するミラサポplusの記事でさえ、見出しは「申請受付期間:8/31~9/30」のまま(本文のスケジュール表は9月30日〜10月30日に修正済み)で、見出しだけを読むと真逆の締切を覚えてしまう状態でした。正しくは「9月30日受付開始・10月30日18:00締切」です。日程は事務局サイトの公募スケジュールで必ず現物を確認してください。

この記事を更新している9月29日時点で、申請受付の開始は翌日の9月30日、締切まではおよそ1か月です。事業計画の骨子と見積がそろっているなら、受付開始後なるべく早く電子申請を完了させてください。先に書いたとおり、口頭審査の予約は申請を完了した順の先着だからです。電子申請の入力には数時間かかり、締切間際は申請が集中すると公募要領も注意しています。事務局の資料ダウンロードページには、事業計画を下書きする「補助事業計画検討用フォーマット」が出ており、応募申請画面に取り込む用のフォーマットは受付開始に合わせて掲載される予定です。

準備で先に動くべきものは決まっています。GビズIDプライムアカウント(公募要領は発行に1週間程度を要すると注意喚起しています。マイナンバーカードを使うオンライン申請なら早く済みますが、余裕を見てください)、一般事業主行動計画の公表(1〜2週間)、加点用の各種認定(数週間〜)。締切まで1か月を切ると、GビズIDと行動計画はまだ間に合っても、認定に数週間かかる加点は間に合わないものが出てきます。いずれも「遅れたので締切を延ばして」は一切通りません。申請書に添付する決算書は法人なら直近3期分(個人なら青色申告決算書3期分等)、ほかに労働者名簿なども必要です。3期分を出せない場合は、今期までの決算書をすべて添付します(1期分を1ファイルにまとめる指定があります)。地域別最低賃金引上げ特例や同じ内容の加点を使う場合は、要件を満たす3か月分の要件確認書と賃金台帳を出しますが、1.3版のファイル名確認シートでは、この台帳が「事業場内の全従業員の台帳」から「全従業員の台帳」に修正されました。要件確認書の様式も9月16日に差し替えられているので、古い様式をダウンロード済みの方は取り直してください。

資金面でもう一つ、ここは間違えると取り返しがつかないので念を押します。この制度には事前着手の仕組みがありません。公募要領には「事前着手の禁止」として、交付決定日より前に補助事業に係る製品の購入や役務の提供に係る契約(発注を含む)等をした経費は、補助対象になりませんと明記されています。事業再構築補助金には事前着手の届出制度がありましたので、その感覚のままだと危険です。採択されても、交付決定が下りるまでは発注できません。

実務上どうなるかというと、採択発表が令和9年1月頃、交付申請の期限は採択発表から2か月以内で、そこから経費の審査を経て交付決定となります。発注できるのは交付決定の後なので、春以降にずれ込むことも見込んでおくのが安全です。納期の長い設備を考えている方は、この時間軸を前提に工期を引いてください。そして支払いは原則あと払いなので、設備代はいったん自社で全額立て替えます。つなぎ資金の設計は融資審査の視点と合わせて考えると安定します。

山梨の事業者はどう動くべきか

山梨県内の中小企業がこの制度を使うなら、まず「どの枠に、いくらで出すか」を最初に固めること。革新的新製品・サービス枠は下限100万円で使いやすく、新事業進出枠・グローバル枠はまとまった投資が前提です。

もう一つ、山梨の事業者にとって効く視点があります。書面審査の「政策面」には、地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者への経済的波及効果によって雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業かという評価軸が置かれています。地方で事業をすること自体が加点されるわけではありませんが、地域の特性を活かした付加価値と、地域の事業者への波及効果は、はっきり評価の対象になっています。申請書の下のほうにある社会的意義のパートを、単なる決まり文句として薄く済ませてしまう方が本当に多いのですが、ここは厚く書くところです。単なる営利施設の出店として書かれた計画は通りません。地域の課題にどう効くのか、なぜ民間単独ではできず公的な補助が要るのか、そこに山梨の数字(人口動態、有業率、産業構成など)を添える。これだけで読み手の印象が変わります。

そのうえで、審査で効くのは「この会社ならこの新事業をやり切れる」という裏づけです。書面審査は、これまでの事業活動との一貫性や、自社の経営資源を踏まえた強みを見ます。何の土台もない分野に飛び込む計画は、「なぜこの事業をやるのか」「販路開拓の必然性」を示しにくく不利になります。ただし、ここで示すのは会社の実績や強みであって、補助事業で作る製品そのものの販売実績ではありません。新事業進出枠では、過去に製造していた製品の再製造は対象外で、事務局の応募申請ガイドは、公募開始日の時点で既にその製品の販売や売上が発生している場合も新規性に当たらない例として挙げています。以前、本業とは別の新規事業で申請したいというご相談で、その事業の売上はほぼゼロでしたが、社長さんがその分野で長年培ってきた経歴を前面に出すことで、実績不足を専門性で補う計画に組み直せたことがあります。新事業進出枠を狙うなら、需要の裏づけは見込み客からの引き合い、予約や問い合わせの記録、ヒアリング結果など、新製品をまだ販売していない形で集め、「本格展開にはこの設備が必要」というストーリーにするのが安全です。試しに売ってみる場合は、狙う公募回の公募開始日より前に同じ製品を販売しないよう、何をいつ売るかを事前に確認してください。

そして、評価される計画は現状→課題→解決策→効果が一本の線でつながっています。単なる売上目標ではなく、その数字に至る根拠のストーリーが勝敗を分けます。池田計画合同会社では、自社に合う制度の診断から計画書の作成、交付申請・実績報告までワンストップで支援しています。AI補助金診断・補助金支援サービスもご活用ください。山梨県内の他の補助金を横断で見たい方は山梨県の中小企業が使える補助金・助成金一覧を、採択率を上げる準備は補助金の採択率を上げるために申請前にやるべき3つのことをご覧ください。

申請の支援・代行は誰に頼めるのか

「自分で書くのは難しそうだから代行を頼みたい」というご相談も増えています。ここは私の意見ではなく、事務局が8月24日に公開した応募申請ガイドの冒頭に、はっきり書かれています。検討やブラッシュアップのために認定支援機関を含む外部支援者の助言を受けるのは差し支えないが、事業計画は必ず申請者自身で作成すること。作成そのものを申請者以外が行うことは認められず、発覚した場合は不採択・採択取消・交付決定取消になる。ここまで踏み込んだ書き方は、統合前の制度ではあまり見なかったものです。

同じガイドには、注意すべき業者の行為が具体例つきで列挙されています。①提供するサービスの内容とかけ離れた高額な成功報酬を請求する、②金額や条件が不透明な契約を結ぶ・強引な働きかけをする、③費用の水増しなど虚偽の記載を教唆する、または作成支援者名を書かないよう求める、④認定支援機関が事業者への支援の一部または全部を他者に外注する。とくに④は、契約相手の看板と実際に手を動かす人が違うケースで、事業者側からは見えにくいところです。契約前に「実際に誰が担当しますか」と一言聞くだけで確かめられます。

そして、この制度でぜひ知っておいてほしいのが支援者の申告義務です。事業計画の作成支援を受けた場合は、電子申請システムに「事業計画作成支援者名」「支援内容」「報酬(予定)額」「契約期間」を入力しなければなりません。複数から支援を受けているなら全員分です。支援を受けているのに入力していなければ、不採択・採択取消・交付決定取消になります。報酬額まで事務局に申告する仕組みだと知っていれば、相場からかけ離れた成功報酬を提示された時点で「これは書けるのか」と立ち止まれます。逆に、支援者の側から「名前は書かなくていい」と言われたら、それ自体が先ほどの不適切な行為に当たります。

もう一点。GビズIDとパスワードを支援者に渡して代わりに入力してもらう、という運用は避けてください。公募要領は、これをGビズID利用規約第10条に反する行為としてはっきり注意しています。電子申請システムに代理申請の委任機能はなく、同じパソコンから大量の申請があると事務局から個別に事情を聞かれることもあります。

支援者ができるのは、計画づくりの伴走・審査項目の翻訳・書類の整合性チェックまで。「全部丸投げでOK」を謳う業者は、審査で必ず聞かれる「なぜこの事業をやるのか」に答えられない計画を量産しがちで、口頭審査のあるこの制度とは特に相性が悪いと考えてください。

頼み先は大きく、中小企業診断士・行政書士・税理士などの士業と、補助金専門のコンサルティング会社に分かれます。選ぶ基準はシンプルで、①その制度の支援実績を具体的に言えるか、②着手金と成功報酬の条件を書面で示すか、③不採択時の扱いを説明するかの3点です。電話やDMで営業してきて「ほぼ通ります」と言い切る相手は、この3点を確かめるだけでだいたい判別できます。池田計画合同会社は認定経営革新等支援機関として、制度選びの診断から計画書の作成・交付申請・実績報告まで伴走しています。受付が始まって締切まで1か月というこの時期は、計画の数字と見積を固める最後の時間です。まずは補助金支援サービスまたは無料相談でご相談ください。

最後に一つ、覚悟しておいていただきたいことを。採択結果についての理由開示および異議申立は、一切受け付けられません(公募要領・応募申請ガイド)。落ちた理由は教えてもらえないということです。だからこそ、出す前に審査項目を一つずつ埋めておくしかありません。

本記事が参照した一次情報

※本記事の数値・要件は2026年9月29日時点・第1回公募の公募要領1.3版(2026年9月28日更新)および応募申請ガイド(2026年8月24日公開・1.0版)に基づき、原文で照合しています。公募要領は改訂されることがあるため、申請の際は必ず事務局の最新の公募要領でご確認ください。

「自社はどの枠に当てはまるのか」「返還リスクのある要件を無理なく達成できるか」——統合直後の制度は情報が入り組んでいて、独力での判断が難しい方も多いはずです。お問い合わせいただければ、決算書と設備投資の計画を伺いながら、枠の選び方から要件の実現可能性まで一緒に整理します。


よくある質問

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは何ですか?

従来の「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」を一本化する形で設けられ、2026年(令和8年)に第1回公募が始まった国の補助金です。革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠の3枠があり、実施主体は中小企業基盤整備機構です。第1回公募は令和8年6月29日開始、申請受付の開始は令和8年9月30日、申請締切は10月30日18:00です。「受付8月31日〜9月30日」は2026年7月17日の変更前の古い日程なので注意してください。

個人事業主や一人社長でも申請できますか?

個人事業主は申請できますが、従業員が1人もいない場合は対象外です。公募要領は「応募申請時点で従業員数が0名の事業者」を対象外としているため、社長お一人だけの会社や、人を雇っていない個人事業主は申請できません(役員は従業員に数えません)。ただし応募申請までに従業員を雇用して要件を満たせば申請できると、事務局のよくある質問に示されています。また新事業進出枠のみ、新規設立・創業後1年に満たない事業者は申請できません。公益/一般の社団法人・財団法人、医療法人、法人格のない任意団体は対象外ですが、企業組合や事業協同組合などの列挙された組合、条件を満たすNPO法人・農事組合法人は対象になります。なお、赤字であることを理由に除外される規定はありません。

いくらもらえますか?補助率は?

革新的新製品・サービス枠は従業員数に応じて上限750万〜2,500万円(賃上げ特例で850万〜3,500万円)、下限100万円。新事業進出枠・グローバル枠は上限2,500万〜7,000万円(特例で3,000万〜9,000万円)、下限750万円です。補助率は原則1/2です。革新的新製品・サービス枠の小規模企業者・小規模事業者と再生事業者は2/3、グローバル枠は一律2/3で、新事業進出枠は小規模事業者でも1/2(地域別最低賃金引上げ特例で2/3)です。

審査で気をつけることは?口頭審査もありますか?

書面審査(7観点)に加え、必要に応じて口頭審査(Zoom等・15分程度)があります。口頭審査は申請者本人が対応し、コンサルタント等の同席は一切認められません。受験日時は電子申請を早く完了した事業者から先着で予約するため、早めの申請完了が有利です。

要件を達成できないと補助金は返還ですか?

はい。一人当たり給与支給総額のCAGRが、自社で設定した目標値(3.5%以上)に届かなければ「交付額×(1−実績÷目標値)」を返還し、CAGRがゼロ以下なら全額返還です。賃上げ特例を使って給与支給総額の特例目標(6.0%以上)に届かなかった場合は、引き上げ分の全額に加えて基本部分も未達成率に応じて返還になります(公募要領1.3版で補記)。事業場内最低賃金の要件未達も返還対象です。目標値を従業員へ表明していない場合も交付決定が取り消され全額返還となるため、実現できる数字で計画してください。

パソコンやタブレットは補助対象になりますか?

対象外です。事務用のパソコン、プリンタ、文書作成ソフトウェア、タブレット端末、スマートフォン、デジタル複合機、カメラ、家具家電など、汎用性があって目的外の使用になり得るものの購入費・レンタル費は補助対象外と公募要領に明記されています。ただし、補助事業のために専用で使うシステムを構築する費用(機械装置・システム構築費)は対象です。「パソコンそのもの」ではなく「その事業でしか使わない仕組み」として組み立ててください。なお自社の人件費や旅費(グローバル枠の海外旅費を除く)、事務所の家賃・水道光熱費、事業計画書の作成を外部に頼んだ費用も対象外です。

山梨県内でこれまで「ものづくり補助金」を使っていましたが、今後はどうなりますか?

単独の「ものづくり補助金」は、公式サイトの公募スケジュールでは第23次(申請締切2026年5月8日)が最後の回で(2026年9月29日確認)、その流れは新事業進出・ものづくり商業サービス補助金に引き継がれています。革新的新製品・サービス枠が旧ものづくり補助金に近い枠にあたります。ただし、申請締切日から遡って16か月以内に旧ものづくり補助金などで採択された事業者は申請できないため、19次〜23次で採択された方は今回の第1回には申請できません。旧制度時代の山梨での使い方や審査で落ちやすいポイントはものづくり補助金 山梨の解説記事にまとめてありますので、統合後の申請設計を考える際の参考にしてください。

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