公開日:2026年9月11日 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)
「そろそろ会社をどうするか考えないといけない。でも、この話を最初に誰にすればいいのか分からない」。事業承継のご相談で、いちばん最初に出てくるのがこの一言です。顧問税理士に言えばいいのか、銀行に言うべきなのか、それとも家族に先に話すのか。相手を間違えると話が変な方向に進む気がして、結局誰にも言えないまま数年が過ぎる——そういう会社を、私は何社も見てきました。
結論から言えば、事業承継の相談先は「無料で方向を整理する公的窓口」と「有料で中身を作り込む専門家」の2層に分かれます。国が全国47都道府県に設置した事業承継・引継ぎ支援センターが無料の入口で、承継の形が決まってから専門家に広げるのが最短ルートです。
私は金融機関で法人融資の審査を担当したのち、中小企業診断士として承継期の会社に関わってきました。県の事業承継・引継ぎ支援センターで相談対応を経験した時期もあります。その両方から言えるのは、相談先そのものより「回る順番」で結果が変わるということです。この記事では7つの相談先の違いを整理したうえで、順番・銀行に話したときに起きること・M&A支援機関と契約する前の確認事項・山梨での窓口まで、公的な一次資料に沿って解説します。
事業承継の相談先には、どんな選択肢があるのか
まず全体像です。事業承継の相談を受けてくれる先は、大きく7つあります。それぞれ相談できることと、そこには期待できないことがはっきり違います。
| 相談先 | 相談できること | ここは期待できない | 費用 |
| 事業承継・引継ぎ支援センター | 承継の方向づけ全般、事業承継診断、親族内・従業員・第三者の比較、譲渡先とのマッチング、事業承継計画の策定支援 | 特定の相手を強く勧めること、承継後の経営そのものへの継続的な伴走 | 無料 |
| 商工会議所・商工会 | 経営指導員への日常的な相談、地域の支援制度や専門家への取次ぎ | 株価評価や契約実務など踏み込んだ個別対応 | 原則無料(範囲は団体ごとに異なる) |
| 顧問税理士・公認会計士 | 自社株の評価、贈与・相続の税負担、事業承継税制の適用可否、決算数値の整理 | 後継者の育成や組織の作り替えといった経営面 | 有料(顧問契約の範囲外は別途) |
| 弁護士 | 遺留分、株式の分散、株主間・役員間の対立、契約書の精査 | 争いが起きていない段階での経営の組み立て | 有料 |
| 金融機関(銀行・信用金庫・信用組合・日本政策金融公庫) | 承継に伴う資金の手当て、借入と経営者保証の引き継ぎ、取引先の紹介 | 中立の立場での助言(貸し手としての判断が同時に働く) | 無料(融資は別) |
| 中小企業診断士などの認定経営革新等支援機関 | 事業承継計画の中身づくり、承継後の事業計画・数値計画、補助金や認定制度の活用 | 承継の可否そのものを決めること | 有料(初回相談無料の事務所が多い) |
| M&A仲介会社・FA | 第三者への譲渡、譲受候補の探索、条件交渉、契約実務 | 親族内承継・従業員承継を前提にした助言 | 有料(手数料体系は機関ごとに異なる) |
この表を見て、7つ全部に相談しなければいけないのかと思われたかもしれません。その必要はありません。実際に多くの会社が使うのは2つか3つです。問題は、その2つか3つをどの順番で使うかです。
公的窓口の中心は「事業承継・引継ぎ支援センター」
中小企業庁は、全国47都道府県に公的相談窓口として「事業承継・引継ぎ支援センター」を設置しています。中小企業の事業承継に関するあらゆる相談に対応するとされ、具体的には事業承継診断による支援ニーズの掘り起こしから、後継者不在の中小企業・小規模事業者と事業等の譲受を希望する事業者とのマッチング支援、事業承継計画の策定支援などを実施しています(中小企業庁「M&A、事業承継に関するご相談」・2026年9月確認)。
センターで何がどこまでできるのか、相談すると実際に何が起きるのかは、事業承継・引継ぎ支援センターとはで詳しく整理しています。この記事では「他の相談先とどう使い分けるか」に絞って書きます。
無料で相談できるのは、どこまでか
公的窓口は相談そのものが無料です。有料になるのは、書類を作る・評価する・契約をまとめるという実務に入ってからです。
たとえば山梨県事業承継・引継ぎ支援センターは、「相談は無料です。公正・中立な立場の専門スタッフが、秘密厳守で相談を承り、助言や支援情報の提供、M&Aマッチング等の支援を行います」と明示しています(やまなし産業支援機構「山梨県事業承継・引継ぎ支援センター」・2026年9月確認)。商工会議所・商工会の経営指導員への経営相談も、通常は費用がかからない形で提供されています。ただし対応の範囲や会員・非会員の扱いは団体ごとに違うので、最初に確認してください。
一方、民間の専門家は「初回相談無料」を掲げる事務所が多いものの、株価の評価、契約書の作成、譲渡先の探索といった作業に入れば当然に費用が発生します。M&A仲介会社やFAの場合は、着手金・中間金・成功報酬といった組み合わせで手数料が設計されるのが一般的で、その体系は機関ごとに異なります。
ここで実務的なコツをひとつ。初回の相談で「どこまでが無料で、どこから費用が発生しますか」と先に聞いてしまうことです。遠慮する必要はありません。まっとうな相手なら明確に答えますし、答えを濁す相手なら、その時点で情報が得られたことになります。当社の料金の考え方は料金ページに整理しています。
相談はどの順番で回るのが早いのか
ここが本題です。相談先の一覧は他でも見つかりますが、順番を間違えると、同じ窓口に相談しても得られるものが変わります。私が実務で勧めているのは次の4ステップです。
| 順番 | やること | 相談先 | ここで決めること |
| 1 | 頭の中を書き出す(社内で完結) | 相談先なし | 継がせたい候補がいるか、いないか |
| 2 | 選択肢の全体像を無料で確認する | 事業承継・引継ぎ支援センター、商工会議所・商工会 | 親族内・従業員・第三者のどれが現実的か |
| 3 | 数字と法律関係の制約を確認する | 顧問税理士、金融機関 | 株の状況、税負担の見当、借入と保証の引き継ぎ |
| 4 | 決めた型に沿って中身を作る | 認定経営革新等支援機関・中小企業診断士(親族内・従業員)/M&A支援機関(第三者) | 計画・スケジュール・実行 |
なぜステップ1を社内で済ませるのか
後継者支援の現場で最初にお願いしているのは、箇条書きで思ったことを1回書き出してみるという宿題です。自社の強みと弱み、自分が得意な作業と苦手な作業、いまのお客様の特徴、5年後にどんな会社にしたいか、1年以内にやりたいこと、身につけたい知識。この6項目でかまいません。
難しく考える必要はありません。文章にしようとすると手が止まるので、箇条書きで十分です。日々忙しくしていると「事業を引き継ぐために何をすべきか」を考える機会そのものがなく、紙に書いた瞬間に課題が見えることが多いのです。そしてこの1枚があると、次の窓口での相談の中身が明らかに濃くなります。何も持たずに行くと、状況のヒアリングだけで1回目が終わってしまいます。
逆から入るとどうなるか
順番の話をするのは、逆から入って行き詰まる例が少なくないからです。よくあるのが、いちばん最初にM&A仲介会社へ相談してしまうケースです。仲介会社は第三者への譲渡を支援する事業者ですから、当然そこを前提にした話から始まります。親族内で継げる可能性がまだ残っていても、その検討は自然と後ろに下がります。悪意があるという話ではなく、どの相談先も自分が支援できる領域から物事を見るというだけのことです。
もうひとつ多いのが、親族内承継で後継者本人が親に切り出してしまうケースです。「会社としてどうするか」の議論が「親子の話」にすり替わり、感情的な反発だけが残ることがあります。私が関わった同族会社では、商工団体や県の承継関連機関、顧問税理士といった第三者を先に挟むことで、会社の話と家族の話を分けて進められた例がありました。第三者を入れるのは他人行儀だからではなく、会社の話を会社の話のまま進めるためです。
銀行に事業承継を相談すると、何が起きるのか
金融機関は相談先として便利ですが、他の窓口とは性質がひとつ違います。銀行にとって事業承継は「与信の承継」でもある、ということです。
私が審査の側にいたときの見方を、正直に書きます。代表者が交代するという情報が入ると、行内では少なくとも次の3点が確認されます。ひとつは、既存の借入に付いている経営者保証を誰が引き継ぐのか。ふたつめは、後継者に代表者としての資力と経験があるか。みっつめは、承継を機に業績や取引の流れが変わらないか。相談したその瞬間から、その情報は与信判断の材料に入ります。
だから銀行に話すなというつもりは、まったくありません。むしろ逆です。承継が具体化してから事後的に伝えるより、方向が固まった段階で自分から説明したほうが、金融機関の反応は良くなります。理由は単純で、突然の代表者交代は銀行にとって最も読みにくい事象のひとつだからです。事前に計画を持って説明に来た会社と、登記が変わってから知った会社とでは、その後の対応が変わります。
ただし、順番としては3番目です。まだ方向が決まっていない段階で相談すると、話が「では資金はどうしますか」という金融の話に寄っていきます。承継の型を先に決めてから、その型に必要な資金と保証の話をする。この順番が実務的です。
経営者保証の引き継ぎについては経営者保証を外すには、融資そのものの相談先については融資の相談はどこにするかで別途整理しています。
承継の形が決まっていない段階では、誰に相談すればいいのか
「まだ誰に継がせるか決まっていないのに相談していいのか」とよく聞かれます。決まっていない段階こそ、公的窓口が向いています。特定の手法を売る立場ではないため、3つの型を並べて比較できるからです。
| 承継の形 | 主な相談先 | 早めに押さえたいこと |
| 親族内承継 | 事業承継・引継ぎ支援センター → 顧問税理士 → 認定経営革新等支援機関 | 株式の集中、贈与・相続の税負担、後継者の育成期間 |
| 従業員・役員への承継 | 事業承継・引継ぎ支援センター → 金融機関・税理士 | 株式の買取資金、経営者保証の引き継ぎ、他の役員との関係 |
| 第三者への承継(M&A) | 事業承継・引継ぎ支援センター → M&A支援機関(登録機関) | 譲渡の条件、従業員の処遇、仲介契約の内容 |
実務で難しいのは、この3つが排他的でないことです。親族内承継を前提に進めながら、並行して第三者承継の可能性も見ておく。両方のシナリオを並走させると、当事者間の温度差が数字として見えてきます。「息子に継がせたい」と言いながら本人にその気がない、というズレは、抽象的な話し合いでは表面化しません。
ひとつ、株の扱いで繰り返し出てくる論点を挙げておきます。兄弟が二人とも事業に残る場合です。このとき給与を差でつけると、その差が承継後の対立の芽になりがちです。私が関わった例では、給与は同額にしたうえで議決権のある株式は後継者に集中させる、という組み方をしました。処遇の公平と、経営の決定権は分けて設計するということです。この整理は、税理士だけでも弁護士だけでも出てきにくく、経営側の視点を持つ相談先を入れる意味がここにあります。
具体的な計画の書き方は事業承継計画書の書き方と記入例、税の猶予制度は事業承継税制とはにまとめています。
M&A仲介・FAに依頼する前に、何を確認すればいいのか
第三者への承継を選ぶ場合、ここがいちばん慎重になるべき場面です。中小企業庁は「M&A支援機関登録制度」を設けており、登録機関は「中小M&Aガイドライン」の遵守を宣言しています。登録の状況や手数料体系は、同制度のホームページのデータベースで検索・確認できます。
令和8年度のM&A支援機関登録制度公募要領(原文)では、登録の要件として、①中小M&Aガイドラインの遵守を宣言すること、②その宣言を自社のホームページに掲載すること、③顧客となる中小企業者等に対してガイドラインの遵守について事前に説明すること、が定められています。逆に言えば、自社サイトに遵守宣言の掲載がない相手は、登録機関ではない可能性があるということです。
契約前に確認すべき6項目
中小企業庁・M&A支援機関登録制度事務局が公表している「M&A支援機関の選定・契約時に確認すべき事項」には、確認事項が具体的に挙げられています。原文に沿って整理すると次のとおりです。
- 手数料体系:報酬率だけでなく、最低手数料、報酬を算定する基準額(譲渡額・総資産額等)、発生タイミングまで確認する
- プロセスごとの支援内容:バリュエーション、マッチング、基本合意、最終契約といった各段階で、具体的に何をしてもらえるのか
- 担当者の情報:保有資格、経験年数、成約実績
- 支援機関の組織体制
- 契約書の条項:専任条項、テール条項、直接交渉の制限などの内容と留意点
- 登録の有無:登録支援機関であっても支援の質は異なるため、具体的な説明を踏まえて依頼するか決める(同資料の注記)
同資料は、手数料や支援内容に疑問がある場合、事業承継・引継ぎ支援センターや士業等専門家へのセカンド・オピニオンも有効とし、場合によっては他の支援機関への依頼や手数料の交渉といった対応も検討するよう促しています。国の資料が「他をあたることも考えなさい」と明記しているのは、それだけ実際のトラブルがあるということです。
元銀行員の目で見て、この6項目のうち最も見落とされやすいのは専任条項だと思っています。専任条項が入った契約を結ぶと、その期間は他の支援機関に依頼できません。だからこそ、セカンド・オピニオンを取るなら契約を結ぶ前です。契約書に判を押してから「他にも聞いてみたい」となっても、動ける範囲が狭くなっています。
不適切な営業を受けたときの窓口がある
ここは2026年に入って動きがあった部分です。中小企業庁財務課とM&A支援機関登録制度事務局は、2026年9月1日付で「不適切な営業行為に係るトラブルの発生を踏まえた対応について」を公表しました。過去に注意を発出した登録M&A支援機関1社について、広告・営業先の停止意思が適切に反映されず不適切な広告・営業が行われたことが確認されたため、改めて注意を発出し、その旨を公表したものです。この段階では社名は公表されず所在地(都道府県名)のみが公表されていますが、同様の事案が再度確認された場合には、社名公表や登録の取消しを含めた対応を検討するとされています。
あわせて、中小企業向けに「情報提供受付窓口」が設置されています。同資料によれば、匿名による情報提供も受け付けており、登録M&A支援機関は、この窓口に相談等をしたことのみをもって秘密保持義務違反として不利益な取扱いを行わないことを登録時に誓約しています。ただしこの窓口は紛争解決や助言を目的とするものではないと明記されている点は押さえておいてください。困りごとを解決する窓口ではなく、行政が実態を把握するための窓口です。
個人事業主の場合、相談先はどう変わるのか
個人事業として営んでいる場合も、事業承継・引継ぎ支援センターは相談の対象です。センターは中小企業・小規模事業者を対象としており、法人でなければ相談できないということはありません。
ただし、相談で扱う中身は法人とかなり違います。法人の承継は「株式を誰にどう渡すか」が中心になりますが、個人事業には株式がありません。譲る対象は、事業用の資産、屋号、取引先との関係、そして許認可です。したがって論点は次のように変わります。
- 税務手続き:先代の廃業と後継者の開業という形をとるため、税務署への届出が伴います。青色申告の承認も自動では引き継がれません——後継者は自分で「青色申告承認申請書」を提出する必要があり、相続で業務を承継した場合の提出期限は、被相続人が青色申告者だったかどうかと死亡日がいつかによって変わります(国税庁 タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」)。ここは税理士に確認する領域です
- 許認可:業種によって、承継の手続きがあるもの、後継者が改めて取り直すものが分かれます。「引き継げるはず」と思い込まないこと。所管の窓口で個別に確認してください
- 税の猶予制度:個人事業者向けの制度は法人向けとは別に定められています。適用の可否と期限は年度によって変わるため、必ず現行の公式情報で確認してください
個人事業の場合、顧問税理士がいないケースも珍しくありません。その場合の入口は、日ごろ付き合いのある商工会議所・商工会か、事業承継・引継ぎ支援センターになります。
相談に行く前に、何を用意しておけばよいか
公的窓口は多くの場合、事前予約制です。たとえば山梨県事業承継・引継ぎ支援センターは、電話またはメールでの相談予約をお願いしており、相談依頼書の様式(PDF・WORD)も公開されています。思い立った当日に飛び込む形ではありません。
持ち物として揃えておくと相談が早く進むのは、次の4点です。
| 用意するもの | そこから何が分かるか |
| 直近3期分の決算書(勘定科目内訳明細書まで) | 会社の実力、承継時の株価の目安、役員貸付金など整理が要る項目 |
| 株主名簿(個人事業なら事業用資産の一覧) | 株式が分散していないか、名義株がないか |
| 借入金の一覧(残高・返済額・保証人・担保) | 後継者が引き継ぐ負担、経営者保証の見直し余地 |
| 親族・役員・従業員の関係が分かるメモ | 誰が候補で、誰と話す必要があるか |
そして、前述の箇条書き1枚です。この5点目がいちばん効きます。決算書は相談員が読めば分かりますが、社長が会社をどうしたいのかは、社長にしか書けないからです。完璧である必要はありません。書けるところだけで結構です。
山梨県で事業承継を相談するには、どこへ行けばよいか
山梨県内の場合、実務的な入口は次のとおりです。
山梨県事業承継・引継ぎ支援センターは、やまなし産業支援機構が運営しており、所在地は山梨県中央市山之神流通団地です。受付時間は月曜日〜金曜日 8:30〜17:15(土日・祝祭日・年末年始を除く)で、電話またはメールでの相談予約が案内されています。相談は無料、公正・中立な立場の専門スタッフが秘密厳守で対応するとされています(やまなし産業支援機構の公表内容・2026年9月時点)。
山梨で特徴的なのは、センターに商工団体や地域金融機関の担当が配置されていることです。中小機構の事業承継・引継ぎポータルで公表されているエリアコーディネーターの構成を見ると、商工会担当、甲府商工会議所、信用金庫、信用組合といった単位で担当が置かれています。つまり、日ごろ付き合いのある商工会や金融機関に話をすれば、そこからセンターへつながる導線が制度としてできているということです。県では平成30年7月に「山梨県事業承継ネットワーク会議」が立ち上がっており、県を中心に商工団体、金融機関、拠点・士業団体が情報共有と事業承継診断の促進を行っています。
公的窓口で足りるなら、それがいちばんです。無料で、中立で、秘密も守られます。そのうえで、「方向は整理できたが、そこから先の計画と数字を一緒に作る相手がいない」という段階に来たら、当社の出番かもしれません。私は元銀行員として法人融資の審査に携わり、承継期の会社が金融機関からどう見られるかを知っています。県の事業承継・引継ぎ支援センターで相談対応を経験した立場でもあります。初回無料相談では、いまの状況ならどの窓口をどの順番で使うのが早いか、公的窓口への橋渡しも含めてお話しします。これまでの支援実績は支援実績に公開しています。
承継にかかる費用の一部は補助金で賄える場合があります。制度の中身は事業承継・M&A補助金に、支援機関としての認定制度は認定経営革新等支援機関とはにまとめました。承継で本当に難しいのは書類より「社長の判断基準をどう渡すか」だと感じている方は、社長の頭の中を引き継ぐ方法もあわせてご覧ください。
※本記事の制度・窓口情報は2026年9月時点の公表資料に基づきます。支援メニュー・受付体制・登録制度の運用は変わることがあるため、利用前に各機関の公式情報をご確認ください。
よくある質問
親族間で株や遺産をめぐって既にもめている場合、どこに相談すればいいですか?
争いが表面化している場合は、早い段階で弁護士に入ってもらうのが実務的です。株主間・役員間で対立があるかどうかが切り分けの基準で、対立がある案件は税務や計画の話より先に法律関係の整理が必要になります。逆に、まだ対立していないなら弁護士より先に全体の方向づけを済ませたほうが費用も時間も節約できます。公的窓口に「もめている」と伝えれば、士業への取次ぎも案内してもらえます。
相談したら、その相手に依頼しなければいけませんか?
いいえ。公的窓口への相談に依頼の義務はありません。民間の支援機関についても、中小企業庁の「M&A支援機関の選定・契約時に確認すべき事項」は、手数料や支援内容に疑問がある場合は事業承継・引継ぎ支援センターや士業等専門家へのセカンド・オピニオンを取ることが有効だとしています。ただし専任条項のある契約を結んだ後は他に依頼できなくなるため、比較するなら契約前に行ってください。
相談したことが従業員や取引先に伝わりませんか?
公的窓口は秘密厳守を明示しています(山梨県事業承継・引継ぎ支援センターも「秘密厳守で相談を承る」と公表)。M&A支援機関登録制度についても、登録機関は情報提供受付窓口に相談等をしたことのみをもって秘密保持義務違反として不利益な取扱いを行わないことを誓約しています。心配なのはむしろ社内です。承継の検討は、誰にいつ伝えるかを決めてから動いたほうが混乱が起きにくくなります。
相談先で「うちでは対応できない」と言われたら、そこで終わりですか?
終わりではありません。「できない」には2種類あります。制度や要件を満たしていないから無理なのか、その相談先の専門外だから扱えないのか。この2つは意味がまったく違います。私が実務で必ず聞き返すのは「それは要件の問題ですか、それともそちらの取扱い範囲の問題ですか」という一言です。後者なら、扱える相談先が別にあるだけの話です。
後継者がまったく決まっていなくても相談していいですか?
むしろその段階が向いています。事業承継・引継ぎ支援センターは後継者不在の事業者に対して第三者承継を含めた支援につなげることを役割としており、方向が決まっていない相談を前提にした窓口です。決まってから相談すると、選択肢が既に狭まった状態から始めることになります。